@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

2023年映画ベスト10+おまけ

 あけましておめでとうございます。2023年も沢山の映画を劇場で観ることができました。その中で特に気に入った映画10作品とベスト10には入らなかったけど個人的に好きだった映画を紹介していきたいと思います。

 


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第1位『君たちはどう生きるか

第2位『青いカフタンの仕立て屋』 (Le bleu du caftan)

第3位『あしたの少女』 (Next Sohee)

第4位『帰れない山』 (Le otto montague)

第5位『aftersun/アフターサン』 (aftersun)

第6位『Pearl パール』 (Pearl)

第7位『ファースト・カウ』 (First Cow)

第8位『EO イーオー』

第9位『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 (Everythig Everywhere All At Once)

第10位『バービー』 (Berbie)

 

 第1位はスタジオジブリの新作であり宮崎駿の復帰作『君たちはどう生きるか』。劇場で3回も観てしまいました。1度目の鑑賞では突き放されたような印象で「ああ、これが本来の宮崎駿か。」と『風立ちぬ』と同じ感想でしたか、SNSで溢れる「私はこう読み込んだ」という多数の感想に心動かされ2度目の鑑賞。そしてついに辿り着いた好きへの境地。よくよく考えればSNSをやっている状態でジブリの新作を観る初めての体験でしたね。皆さんの考察や感想に感謝です。きっと宮崎駿は引退しないでしょうし、本作を観る限りではきっとまた新作を作ってくれるはず。本作の中でしきりに繰り返される「悪意のある世界」とは何だろう...と思いながら2023年の後半を過ごしていたところに、『ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生』『映画 窓ぎわのトットちゃん』が答えをくれました。3度目の鑑賞で気づきました、きっと悪意とは戦争のことじゃないかな。宮崎駿水木しげる黒柳徹子も戦争を繰り返してはいけないとしきりに伝えてきた2023年でした(特に水木しげるは故人ですが従軍経験のある方ですしね)。

 

 第2位は『青いカフタンの仕立て屋』。抑圧された男性の目線はなぜあんなにも苦しく私の心をかき乱したのか。隅々まで計算されたシーンに繊細さが詰まった演技やセリフなどあらゆる点で私の中で完璧でした。前半と後半では全く味わいの異なる展開に観ていて非常に疲労しました。ラストのシーンの伝統に逆らい生きていくハリムの姿に本作が惑うことなきクィア映画であることが伝わってきた。

 

 第3位『あしたの少女』。どれだけ芯が強くてもある日突然プツンと切れて生きていたくないと思うことはある。そんな気持ちを抱えた女の子をどうして救うことができなかったのか、ラストのユジンの悔し涙が全てを語っている。人が亡くなるとき何を語ったのかではなく、何を残したかったのか、そこにその人の全てではないが少しだけの気持ちがあると思う。きっとソヒが残したダンスの動画は彼女が見てほしかった気持ちなのだろう。

 

 第4位は『帰れない山』。ピエトロとブルーノが性愛に関係なく支え合っていたらあんな結末にはならなかったのか。現代に対応できない男性の行く場所が死だったことは嘆くべきかもしれないが、変わりゆく現代そのものにも疑問が残る。そんな男性たちの行く末を不穏な形で映す撮影は荘厳そのものであった。

 

 第5位は『aftersun/アフターサン』。始まりから終わりまであれはいったい何なのかと思わせる説明しすぎないまるで反射する太陽の光を掴むような難しさのあるかなりのリスクを取った作品だと思うが、幸い私には監督の狙いがよく分かった。Queen & David Bowieの曲が全てを説明してくれていましたね。歌というのは偉大です。

 

 第6位は『Pearl パール』。『X エックス』の前日譚にあたる作品だが、『X エックス』よりミア・ゴスが脚本に携わっているおけげで非常に理解しやすく観やすい作品になっている。王道のミュージカル的なスコアは豪勢だが、それ以上にミア・ゴスのロング・テイク演技はついつい主人公のサイコな行動に善悪の判断ができなくなるほどの共感を抱かせる力がある。『X エックス』の続編にあたる第3作目も楽しみにしています。

 

 第7位は『ファースト・カウ』。己の腕っぷしの強さがモノ言う西部劇の中で暴力ではなく親密さを選んだ作品。一歩間違えれば能天気だと勘違いされそうな題材なのに、撮影や音楽や脚本は優れているため、しっかり骨太な作品に出来上がっている。そしてクッキーとキングはしっかり西部劇の王道のようなラストを迎えるのだが、それに行きつくまでに他の西部劇との大きな違いがあるのが本作の、魅力。ケリー・ライカートの映画は実は初めて観たのだが、なぜもっと早く観てこなかったのかという公開をするほど好きになった作品だ。

 

 第8位は『EO イーオー』。牛の次はロバ。今年は多くの魅力的な動物たちが登場したが、なんならもうロバを主人公にしてしまおうと潔い判断をしたのが本作だ。脚本は正直優れているとは思えないが、それ以外の音楽や撮影が見事なんだ。そしてそれ以上に本作に出てくるロバちゃんたちの愛しさ。本作の製作人はこのロバちゃんたちに感謝するべきだろう。

 

 第9位は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。実は本作が公開された直後は感動して3回も劇場で観たのだが、『君たちはどう生きるか』がSNSのおかげで好きになったのとは全く違う現象が起きてしまい、みんなの感想を読んだら実はそうでもないなと冷静になってしまったのです。それでも観た時の純粋な感動は忘れないし、あのジョイとエブリンが岩になったシーンのカタルシスは今年一番だった。just be a rock..

 

 第10位は『バービー』。第9位同様です。劇場で2回も観たのにな。SNSで男性たちはこの映画を褒めていたのに反比例して女性はあんまりこの映画のフェミニズムを褒めていなかったのが(私もそうだ)、全てを物語っている。正直これよりも優れたフェミニズムの映画たくさんあるし。それでもグレタ・ガーウィグは大好きな監督なので、次回作に期待です。

 

 例年通りにA24が強い年でしたが、やはり今年はアニメが健闘していました。その中でもやはりジブリ君たちはどう生きるか』の存在は大きかったですね。牛とロバとアオサギなど鳥や動物なども魅力的な一年でしたね。ヨーロッパの映画も2作選べたし、初めて年間ベスト10に韓国の作品も入ってきましたね。『あしたの少女』は絶対に外せない。『バービー』も日本以外ではヒットしたようで良かったし、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の画期的な快進撃も体験できて良かった。10作品通して分かることは、私はどうも抑圧されている主人公の映画が好きみたいです。以下は年間ベスト10に入らないけど、とても良かった作品たちです。名前と軽くコメントのみ紹介です(順不同です)。

 

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『ノースマン 導かれし復讐者』
これもあらゆる点で完璧に近い映画でよく出来ていると思ったけど、やはりあのマッチョな感じがどうも。バルハラなんて目指さなくてよろしい。


『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』
2023年の日本のカルチャーの予言のような作品になっていたなと。被害者の告発があるから記者はああやって記事をようやくかけるのだから、よくあるこれは嘘の告発だみたいな被害者を責め加害者を擁護するコメントは通用しないんだ。


『イニシェリン島の精霊』
オジサン二人が喧嘩する映画なのに、それを描くための周囲の人間や動物の描き方が見事だった。よく醜い男性同士の喧嘩を「どこかよそでやれ」なんて思ってしまいがちだけど、そのよせでやっても被害を受けるのはその場所の最も小さい命なんだ。


『崖上のスパイ』
巨匠の細部に至るまでのこだわりに酔いしれてくださいと言いたいところだけど、やはり日本人として素直に感動できないのこの映画で描かれていることである。


『別れる決心』
これも細部に至るまで美しいというか、セクシーと言った方がいいかもしれない。その画面の美しさに反比例するかのように持つ者と持たざる者の現実が重くのしかかかる。


アラビアンナイト 三千年の願い』
ジョージ・ミラーはこういうロマンティックな作品も作れるんです。


『オマージュ』
去年から今年にかけて映画への愛を語る映画がたくさん公開されたが、本作が一番好きだな。そういえば女性監督って男性監督と比べると生涯に製作した作品の数が少ないよね。なぜそうなのか、本作を観て確かめて欲しい。

 

『フェイブルマンズ』
初見時はそうでもなかったのだが、スピルバーグ監督の熱狂ファンの解説を見ているうちにいつのまにか...

 

『獅子少年 ライオン少年』
今年はアニメーションが豊作だったけど、個人的には『君たちはどう生きるか』の次に良かった。

 

『アシスタント』
仕事終わりにカフェからオフィスを眺める主人公の姿に共感したが、同時に鬱々とした気分になった。職場でハラスメントが起きた時、私は一体どのような行動をとれるのだろうか。あの主人公はどんな気持ちだったのだろうか。


『CLOSE/クロース』
『帰れない山』同様に性愛以外の友情の示し方があれば良いのにね。子どもが死ぬので非常に重い作品だが、それにしっかり向き合った作品でもあったと思う。


『裸足になって』
これも非常に重いテーマであり語られてこなかった忘れられた戦場の後を生きる女性の物語である。ラストの追悼ダンスは奪われた夜と権利を取り戻しているように見えた。


『ファルコン・レイク』
ホラー映画のような演出でひと夏の危険を見事に描いている。


エリザベート 1878』

プリンセスを人間として描くとこうなるんですね。

 

『君は行く先を知らない』
観客に行く先を知らせないスタートで、ラストには本作の家族たちも行く先を知ることができないという、静かだけど非常に練られた作品。


『PIGGY ピギー』
 白馬に乗った王子様じゃなくて、白いバンに乗った殺人鬼が自分を迎えに来たらあなたはどうする?答えはこの映画の中にあるよ。


『シアター・キャンプ』
内輪向けの映画なのになぜこんな面白いのか。それはミュージカルと舞台とコメディへの愛が本作にあるからだよ。


『ウォンカとチョコレート工場』
やっぱり私は王道のミュージカルが好きみたいです。Pure Imaginationが全てを持って行ってしまった。 


『枯れ葉』
あえて王道のメロドラマを作った監督の心意気を讃えたい。

 

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』
周りに流されて羽目を外したらどうなるのか、結構な倫理観に貫かれた作品であった。

 

 

 

 

 次は意地悪だけど2023年に観た映画でワーストもしくはどうしても許せなかった映画たちです。名前と軽くコメントのみ紹介です(順不同です)。

 

『逆転のトライアングル』
どう考えても過大評価されている作品だ。この監督作品は全て嫌いだけど、本作は取り立てて嫌いだ。排泄と吐しゃを見るくらいなら『ストレイドッグ』を観たほうがずっと良い。


『対峙』
気骨ある作品だと思うけど、当事者の子供たちがいない中で親があーでもないこーでもないと対峙することに私は意味を見出せなかった。

 

『TAR/ター』
セクハラする女性の指揮者の存在確率なんて、宝くじで1等が当選する確率よりも低いと思うよ。映画はありえないを作るものだけど、本作はありえない通り越しすぎている。これを観る代わりにありえないを描いているSFを観よう。

 

兵馬俑の城』
子供向け作品だよね?


『カード・カウンター』
永遠に続く自分語りにイラクの他者化。それに加えて映画的にひたすらつまらないという。映画を観ながら意図的に寝落ちしようと頑張っていた。

 

『プー あくまのくまさん』
広告に騙されて観に行った私も悪いけど、いくら低予算で著作権切れたからと言っても、もうちょっと真面目に作りなさいよ。

 

『古の王子と3つの花』
同じ絵タッチのアニメに同じ話の内容。物語の中で物語るなら、ジョージ・ミラーの足元にも及ばない。

 

『インスペクション ここで生きていく』
いくら軍に居場所を見いだせても、それを観客に映画と言うメディアを使って見せるなら多少のモラルとマナーは意識したほうが良い。

 

火の鳥 エデンの花』
Disney+で配信された作品とほとんど同じ内容ならわざわざ劇場公開させる意味ない気がする。それに加えて手塚治虫の描いたテーマが全く生かされていない。水木しげるの意思を継いで名作映画を作った水木プロを少しは見習え。

 

『ウィッシュ』
100周年を祝う作品がこんな地味な作品でいいのか。良いはずないだろ。

 

『Perfect Days』
感想記事でひたすらこき下ろしたのでここでは一言だけ。観ていて恥ずかしいと思わせる映画は最悪だ。