@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『君たちはどう生きるのか』

 

『君たちはどう生きるのか』 [2023年日本]

 

母親を火事で失った少年・眞人(まひと)は父の勝一とともに東京を離れ、「青鷺屋敷」と呼ばれる広大なお屋敷に引っ越してくる。亡き母の妹であり、新たな母親になった夏子に対して複雑な感情を抱き、転校先の学校でも孤立した日々を送る眞人。そんな彼の前にある日、鳥と人間の姿を行き来する不思議な青サギが現れる。その青サギに導かれ、眞人は生と死が渾然一体となった世界に迷い込んでいく。監督は宮崎駿

 

 とりあえず宮崎駿はまだまだ現役を続けそうでそれはとても良かった。『風立ちぬ』で受けた批判にそれなにりに答えている印象がある。おそらく眞人は前作の主人公の子どもに当たるだろう。その父親がまあ嫌な奴に見えるのだ。

 

 よくこんな作家性を前面に出した作品を作ったよね。観客を信頼しているのだろう、観客はそれに答えられるかな。いっさい広告なしなので前作と違い批評もそんなに別れている印象ないんだけど、それでもシブリだからでつられてやって来る人はいて、肩透かしを食らうことは否めない。ある意味でいっさい広告なしは免罪符的な部分もあるかも。いずれにせよこんなことは宮崎駿にしかできないだろう。

 

 前作同様に共感しにくい主人公で、常に感情を隠していて、説明を極力おさえていたが、けっこう丁寧に作っていると感じた。本作の中で触れられている本を読めばより理解ができるのかもしれない。


 私がすごく本作で好きなところは、眞人があちらの世界から戻ってくるときに石を持ち帰ってくるのだけど、あれはファンタジーの世界から現実に持ち帰ることもあるのではないかという期待だろう。自分だけの創造物を作って、現実を直視し、受け入れること、これって実はできないんだよ。駿は何を受け入れたのだろう。死と老いと再生かな。いずれにせよ後進クリエイターへのメッセージでもあるだろう。同時に観客へもだ。

 

 日常を生きるジュ人口が何かに導かれて異世界を旅したりと過去の宮崎作品を網羅しつつ、相変わらず空への憧れもありつつ、それでも空への憧れが少し今までと違うのも面白かった(鳥が出てくるんだけど、その鳥が高潔であったり絶滅に瀕していたり)、というか主人公の眞人は空を飛び立いと思ってすらなさそうだ。

 

 あちらの世界は何かの比喩かな。一瞬、ここはもしかして子宮の中か?と思ったけど、ちょっと拡大解釈かもしれない。それにあちらの世界は崩壊しかけているし。空想の終わり、少年時代の終わり、大人へと成長していく眞人。その過程で出会うあちらの世界の友情や思い出は一生のモノだ、それを大切に持っていてもいいし、持っていたいと思い続けていいと言っているのかもしれない。まあとりあえず駿の次回作を観て、本作が本当に評価できるかもしれないから、早く次作を作って下さい。