@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ブルー きみは大丈夫』

 

『ブルー きみは大丈夫』 (IF) [2024年アメリカ]


母親を亡くし心に深い傷を抱える少女ビーは、謎の大きなもふもふの生き物ブルーに出会う。ブルーと彼の仲間たちは、かつて想像力豊かな子どもによって生み出された“空想の友だち”だったが、子どもが大人になって彼らを忘れるとその存在が消滅する運命にあった。もうすぐ消えてしまうというブルーを救うため、大人だけどブルーのことが見える隣人の助けを借りながら、ブルーの新たなパートナーを見つけるべく奔走するビーだったが……。監督&脚本はジョン・クラシンスキー。出演はケイリー・フレミング(ビー)、ジョン・クラシンスキー(ビーの父)、フィオナ・ショウ(ビーの祖母)、アラン・キム(ベンジャミン)、ライアン・レイノルズ(カル)、スティーブ・カレル(ブルー)、フィービー・ウォーラー=ブリッジ(ブロッサム)、マット・デイモンエミリー・ブラントサム・ロックウェルブラッドリー・クーパージョージ・クルーニーほか。

 

 『クワイエット・プレイス』シリーズを監督したジョン・クラシンスキーの新作である。ハートウォーミングな話で『クワイエット・プレイス』シリーズとは全く違う感じを受けるが、実はジョン・クラシンスキーのフィルモグラフィを見れば全く違和感は無いし、むしろ『クワイエット・プレイス』シリーズの方が異質だ。本作では予算が潤沢にあるようで、大変視覚効果などお金がかかっている感じするし(あの都会や部屋の中にいてもIFが視覚的に全く違和感を感じさせないで存在している)、声優だけでもキャストがありえないくらい豪華だ。これはジョン・クラシンスキーの人脈あってこそなのだろう(人脈を全く持っていない私は映画を作れるわけがない)。

 

 映画冒頭から「さすがにライアン・レイノルズでも11歳くらいの女の子とうろつくのはよろしくないのでは?」と思っている人ほど、ラストのカルの正体に驚く。まあよくあるオチと言えばそれまでだけど、でも大人にも子供にも響く作品と言うのは往々にしてこういう違和感を上手に回収していくんだよね。それに随所に大げさだけど過剰ではないクラシックなスコアも登場人物たちの心の動きに呼応しているのも良かったと思う。

 

 ピクサー作品を実写化したらこんな風になるのではないか?という感じの作品で、大人になりイマジナリーフレンドを必要としなくなったIFたちの居場所をどうするかみたいな話なので、少し『トイ・ストーリー』シリーズを思い出したりもした。ただIFのデザインが正直どっかで見たことあるようなモノばかりで、これは良いのだろうかと思うのだが、まあIFは子どものイマジナリーフレンドなわけで、子どものイマジナリーフレンドを具現化したら、そりゃ何かのキャラクターに似るのは当たり前だ。その辺は凄くリアリティある。

 

 全体的に王道に王道を重ねた演出なので非常に観やすく良い。しかし大人になってIFを必要としなくなったにもかかわらず、まだIFたちが自分を生み出してくれたかつての子ども(今は大人)に恩返しをしたい、交流したいと思っている設定が個人的には受け入れられなかった。『トイ・ストーリー』のウッディもそうだが、人間の役に立つこと以外のアイデンティティを剝奪されてしまっているのがどうも見ていて苦しい。IFたちに言いたいのは、「人間なんて忘れることで生存能力を獲得してきた生き物だよ」である。まあこの「創造物は人の役に立たなければいけない」みたいな思いは、芸術家たちは持っているんだろう(まあそういう話の方が大衆受けするし)。または単純にジョン・クラシンスキーの「芸術とはこうあったほうが良いのではないか」という思いが、そのままIFに反映されているのだろう。ただジョン・クラシンスキーはホラーも得意なので、次作では忘れられたIFたちが大人になってIFを忘れた人間を襲う作品を作るかもしれないから、次作に期待だ(もうそういう映画は存在しているだろうけど)。