@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『フェイブルマンズ』

 

 

『フェイブルマンズ』(The Fablemans)


 初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になった少年サミー・フェイブルマンは、母親から8ミリカメラをプレゼントされる。家族や仲間たちと過ごす日々のなか、人生の一瞬一瞬を探求し、夢を追い求めていくサミー。母親はそんな彼の夢を支えてくれるが、父親はその夢を単なる趣味としか見なさない。サミーはそんな両親の間で葛藤しながら、さまざまな人々との出会いを通じて成長していく。

 2022年、アメリカ製作。言語は英語。上映時間は151分。レイティングはPG12。日本配給は東宝東和。

 監督兼脚本はスティーブン・スピルバーグ。共同脚本にトニー・クシュナー。撮影はヤヌス・カミンスキー。音楽はジョン・ウィリアムズ。出演はガブリエル・ラベル(サミー)、ミシェル・ウィリアムズ(ミッツィ)、ポール・ダノ(バート)、セス・ローゲン(ダニー)、ジャド・ハーシュ(ボリス大叔父さん)、デヴィッド・リンチ(ジョン・フォード)。

 

 サミーとサミーをいじめていた青年ははもしかしてクィアかな?トニー・クシュナーがオープンリーゲイなのでよりそう思ったよ。母の息子(Mother's Son)としての一生。またはゲイとその母の物語。クシュナーがオープンリーゲイなので余計そう思った。ゲイ映画の重要人物の母親に焦点が当たるのでこの作品は立派にクィア映画と言ってもいいと思う。

 

 私は面白いと思ったのだが、スピルバーグ監督の過去作と比べると凡庸だ。自伝映画って誰が作ってもつまらないんだけど(人生というのは何もない時間のほうが多いので)、いくらスピルバーグでも自伝映画はつまらないので逆に励まされるというか、安心した。(=映画が駄作とかつまらないというわけではないです。)

 

 母はピーターパンのような人だったとスピルバーグが言っていたが、どちらかというと躁鬱っぽいのかなと。あの時代だし、子どもが4人もいたらそりゃ鬱にもなるさ。まさかそれが子どもの数とか子育てからきているものだとスピルバーグもクシュナーも分からなかったのか、それとも想像に及ばなかったのか。やはり避妊の知識と努力は大事だなと。この辺は信仰深いユダヤ教徒としてのアイデンティティなのか、ユダヤ教のなかで避妊ってどの程度大事にされているのか分からないので... それとも芸術肌の女性の自由ととるのか、それでもステレオタイプな気もするが。

 

 芸術家で夢見がちな母、技術科でまじめでオタクっぽい父の両方を受け継いだのが、スピルバーグだ。夢(SF)で技術を見せる人だもん。本当にスピルバーグありきりの映画だが、逆にスピルバーグという名前をよく宣伝文句に使う日本で一番、ヒットしないといけない映画かもね。(あんまりヒットしてなさそうだけどさ)

 

 子供時代を描いて両親の犠牲を美化して描きがちな映画とは少しかけ離れているかもしれない。親(特に母)も人間なんだとあきらめるところからのスタートなので。しかし妹たちの描写は薄いし、会話も脈略が無かったり分かりづらい...スピルバーグの政治系過去作の方がセリフが分かりやすかったの、私だけですか?

 

 母親のセリフが少し芝居っぽいんだけどあれってわざとだよね。その辺はもう少し掘り下げても良かったかも。母親の内面とか病気の事とか。(時代背景的に難しいかな)

カメラを向けても映してはいけないもの、自分は見ても観客に提示してはいけないものの判断をあんな形で学んでいたのですね...あの上映会地獄だよね...

 

 芸術家は家族と板挟みになる話。とにかくこの辺も家族の話で、今年のテーマだろう。今年の映画のテーマが家族と映画で、まさに今年の(アメリカだと2022年)テーマを包括しているし、数年後に2022年を振り返った時に思い出す映画はもしかしてこの作品かもしれない。

 

 ちょっとしてシーンでもとにかく凄い。セットとか取り方とか。映画を撮ることについての映画だけど、全く抜かりが無い。あとノスタルジックではあまりない。1960年の自主製作映画だけど、リアル志向だ。

 

 ラストのジョン・フォード監督のやりとりは笑えるんだけど、あれ笑うところだよね。でもあまり観客に伝わってこない...私は面白かったけど。最後の地平線のくだりなんてかなり可笑しいし。