@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ナイトスイム』

 

『ナイトスイム』 (Night Swim) [2024年アメリカ]

 

難病に侵され早期引退を余儀なくされた元メジャーリーガーのレイ・ウォーラー。現役復帰を目指す彼は自身の理学療法も兼ねて郊外のプール付き物件を中古で購入し、妻イブや思春期の娘イジー、幼い息子エリオットとともに引っ越してくる。新たな生活を満喫する一家だったが、裏庭にあるプライベートプールは、なぜか15年も未使用のままだった。そのプールには得体のしれない怪異が潜んでおり、一家を恐怖の底へと引きずり込んでいく。監督はブライス・マクガイア。出演はワイアット・ラッセル(レイ)、ケリー・コンドン(イブ)ほか。

 

 真面目な親が出てくるホラー映画を量産する真面目な(というか保守的?)ブラムハウスですが、その真面目さがとうとう子どものために命すら捨てる、親が犠牲になる映画を作ってしまった...この「親は子どものために命すら差し出しても守るべき」みたいな感動要素の方がずっとホラーだと思うけどね。『クワイエット・プレイス』でもそうだけど、あなたたち親の方がずっと怖い存在なんだよ。実は親(父)が子どもを殺そうとして、霊が実は子供たちを守っていたんだというオチのほうがずっと良くない?

 

 親(父)は子どもを守ってこそみたいな価値観とか、一家でボロ家をDIYで直して父と母の偉大さを知るみたいな、そういうのアメリカの美徳なんでしょうけど、それに比較してその家に先住していた霊が怖いみたいな...入植者の猜疑心についての映画にすれば良かったなのに、甘ったるいホームムービーで終わった...本作を是非アメリカの歴史に置き換えてみると良いよ、異様さが分かると思うから。

 

 とうかあの父レイも元々問題があるというか、自分の夢のために家族をけっこう振り回している節があるというか、病気関係なく問題がある父親だよね(息子に友達ができないのも父親の引越しが多いのが原因だし、そもそも友達がいないのは問題ではない。それを問題だと思う大人が悪い!)。それなのに霊が憑りついたから暴力的で問題ある人物になったみたいなオチで。最初からこの父親には問題があって霊はきっかけにすぎないんだよとして『シャイニング』を作ったスタンリー・キューブリックの方が尖っているし家族をよく理解していると思う。『シャイニング』は40年以上も前の作品なのにね。

 

 あと本作が一番問題だと思うのが、映画の冒頭で亡くなるレベッカの設定で、レベッカは母親想いで勉強熱心な兄のため母親から犠牲になるように仕向けられた可哀そうなアジア系の女の子だ。つまりレベッカの母親はタイガー・マザーなのだが、それが凄くアジア系のステレオタイプで、よく今どきこんな設定を思いつくなと思った。白人家庭の父親の自己犠牲はハートウォーミングでアジア系の家庭はホラーなんだよ。『MEGAN/ミーガン』とか『ブラック・フォン』というかブラムハウスって絶対アジア系の登場人物が死ぬけど、もう確信犯的にやっているよね?