『NOPE ノープ』('Nope)
田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃したことを妹に明かす。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた。
冒頭に提示されるキリスト教のモチーフまんまのテーマの映画であった。人間や事件を食い物にする奴は文字通り同じ目に合うという教訓映画だ。
消費する/される、見る/見られる、これをモチーフにしっかりと複雑性がある物語展開。差別されていたジィープですら、未確認生物のGジャンを消費する立場にいる複雑性。資本主義と人種差別を上手に物語に組み込んでいる。しかしアジア系がその立場にいるのを見るのは悲しいかな。しかもまた才能に溢れているアジア系が死んじゃうしさ。
ホラー映画かなと思わせておいて、実は動物パニック映画という、テーマの変化。それを見せるのがとにかく上手だ。しかもコメディの心も忘れないのがジョーダン・ピールだ。とにかく面白いので多くの人に観てほしい。