@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ゴジラ-1.0』

 

ゴジラ-1.0』 [2023年日本]

 

舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。監督は山崎貴。出演は神木隆之介(敷島)、浜辺美波(典子)、山田裕貴青木崇高吉岡秀隆安藤サクラ佐々木蔵之介ほか。

 

 公開当初は全く観に行く気は無かったのだが、アメリカでものすごいヒットしているようだし、もしかしたら3月に行われるアカデミー賞で視覚効果賞を受賞する可能性もあるので、念のため観に行った。当ブログでも『STAND BY ME ドラえもん2』を酷評した通り、私は積極的に山崎貴アンチだ。

 

 そりゃゴジラや戦後日本を視覚効果で再現して観客の没入感を狙っているが、そもそもそれが本作最大の売りであり、それで世界に打って出て行ったのだから凄いのは当たり前だし。戦前の日本の体制批判も正直ぬるい。こんなんで日本の戦前体制を批判したとか褒められるんなら、天国で岡本喜八が怒り狂ってるよ(たぶん)。それに政府はあてにならないから自分たちの力でゴジラを倒しましょうみたいなのもさ(たとえ今の日本がそうであっても)、そりゃ映画的には映えるかもしれないけど、私は嫌いだね。「こんな日本、ゴジラに潰されちまえ」みたいなセリフを吐く登場人物の一人や二人、出してみろってんだよ。そもそも戦後っていう設定も、どうせ日本政府もアメリカ政府もあてにならないから市民で立ち上がろうみたいな設定を出したくて映画の時代設定を戦後日本にしただけであって、そこに特に思想なんてなく戦後がただ利用されただけだろうし。

 

 一番許せないのが女性の描写の薄さだ。薄いと言うとアレだけど、典子は知らない赤子を自分の子どものように育てるくらい大きな愛と優しさを持っていて、それこそゴジラの比じゃないくらい、大きな存在であるはずなのに、途中で死んで、敷島のゴジラを倒して復讐してやりたいみたいな動機づけのためにいる人物だ。最後実は典子は生きていましたみたいなオチも、卑怯だしこっちを馬鹿にしてんのかと思った。ちなみに典子以外にも女性は出てくるが、ほとんど典子と同じ役なので、実質女性は一人しか出てこない、あんなに男性はたくさん出てくるのに。ゴジラシリーズの中でも女性の描き方がしっかりしていた本多猪四郎から一体何を学んだのか。この女性の描き方はいつもの山崎貴だし、本作の典子は『STAND BY ME ドラえもん2』の静香ちゃんと同じで、そこは全く進化してない。静香ちゃんもあの面倒なのび太と結婚するのに非常に描写が薄く都合が良い存在であったが、そのアニメキャラクターと実写映画の女性が同じ役柄って...

 

 これがアメリカで大ヒットして、あの『PERFECT DAYS』と並んで3月のアカデミー賞にノミネートされているのだと思うと、大変やりきれない。というか本作はアメリカ人が見ても違和感ないというか、あの焦土と化した東京を見ても全く何のことか分からないだろうし、「GODZILLA is so cool」みたいな感想だけ持っていてもおかしくない...頭を抱えるしかない。