@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『羊飼いと風船』

 

リプロダクティブ・ヘルス・ライツがいかに重要かが分かる映画。しかしラストが好きになれない...

 

f:id:GB19940919:20210212013708j:plain

 

『羊飼いと風船』(Balloon)

 

チベットの大草原。牧畜をしながら暮らす、祖父・若夫婦・3人の息子の三世代の家族。昔ながらの素朴で穏やかな生活を送っていたが、近代化は進み中国の一人っ子政策の波が押し寄せていた。そんなある日、母・ドルカルの妊娠が発覚する。喜ぶ周囲をよそに、思わぬことで母の心は揺れ動く。伝統的な信仰と変わりゆく社会の狭間に立たされ、次第にすれ違う家族―葛藤の末、彼女が選んだ道とは…

 

 近代化の波が放牧をしながら暮らしている一つの家族に押し寄せ、そこから生まれる葛藤や経済格差や女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツを取り扱った映画である。とてもよく出来ている映画だった。

 

 この映画はドルカルの目線を通して描いているのが良いのだが、映画のラストはそのドルカルが出産したのか、それとも中絶したのか分からないラストでこれは観客に委ねている作りになっている。正直私は明確に中絶したという描写を入れてほしかったと思う。そもそもドルカルは中絶したいと明確に話していたわけだし。まあ現実ではきっとドルカルのような立場に置かれている女性は出産している選択をしている女性がきっと多いのだろうが、でも作中のドルカルの置かれている立場は差別的だ。しかも夫のタルギュはどう考えても避妊に協力的じゃないし、必要とあれば暴力をふるうような奴だ。タルギュも家父長的な抑圧を受けているが、酒に逃げていたりと正直ドルカルの立場と比べれば...そのような現状を映画としてみせたのに、あの観客に委ねるラストは好きになれない。映画の中くらい女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツが認められてもいいじゃないか。なんか監督は男性だが、正直"男性"という特権的な御身分から女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツを描いた作品だなと思う。『ROMA/ローマ』と似てるかも。