@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『オッペンハイマー』

 

オッペンハイマー』 (Oppenheimer) [2023年アメリカ]

 

第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。監督&脚本はクリストファー・ノーラン。出演はキリアン・マーフィ(ロバート・オッペンハイマー)、ロバート・ダウニー・Jr.(ストローズ)、エミリー・ブラント(キティ)、フローレンス・ピュー(ジーン)、マット・デイモン(レスリー)ほか。

 

 基本的に退屈になるであろう伝記映画を、3時間の大作なのにハラハラさせながらテンポよく進んでいく作りにしたのは本当に凄いと思う。私はノーランの映画を情熱を持って分析できる人間ではないのだけど、本作に至っては事前にあらゆるメディアで情報やら解説やらが溢れていたので、それらを事前にチェックしていたおかげであまり難解な印象は受けなかった。でも見逃していた何かはきっとあるだろうな。日本でもヒットしているみたいですが、それはアカデミー作品賞を受賞したからなのか、それとも違うのかは分からない。

 

 ただ面白く感じる分、その面白さが自分の中で罪に変わることが何回か起きる。特にロスアモスの核実験のシーンとか、仲間の科学者が集まってくるシーンとか、本当に心が躍ってしまったし、オッペンハイマーが日本に原爆が落ちたかどうか、ずっと待っているシーンは私もオッペンハイマー同様にハラハラしてしまった(広島と長崎では酷いことになっているのに)。映像表現というのは本当に罪で、善悪の判断を鈍らせる恐ろしいメディアだなと改めて思った。

 

 『デューン 砂の惑星 PART2』で核ミサイル撃っておいて、その後の汚染とか考えないのかと思っていたので(別にこれだけではないですが)、それと比べると本作の核や原爆の描き方は誠実には映った。ただそれらを正しく描いたというだけで評価させるようになるのは少し違和感を覚える。ただ日本でも『ゴジラ-1.0』みたいな作品もあるし、それは日米お互い様だろう。少なくとも日本の大手メディアで『ゴジラ-1.0』に天皇制批判や戦争加害の歴史を描いていないという批評が載ったというのを聞いてないし見てもいない。その点『オッペンハイマー』についてはその日本の被害について描写がぬるいみたいな記事を大手映画メディアが載せていたりしたので、アメリカの誠実さを考えたり。と言いながらも簡単に言うと『ゴジラ-1.0』も『オッペンハイマー』も二つとも好きな作品ではないです。技術が凄いとか言われても、それが"売り"なんでしょうと思うし。オッペンハイマーの罪についての映画だけど、名誉回復に一役買っている側面もあるし。

 

 それより女性の描写の悪さの方が個人的に抗いたい気持ちだ。オッペンハイマーが尋問を受けているシーンでインサートとしてオッペンハイマージーンとセックスしているシーン(あの体位、何ていうの?)をキティが見るという、たいへん謎なシーンである。それ、ノーラン、お前の妄想だろって思ったね。女の人生が全て男と紐づけられてるとでも思ってるのか。本作は広島で高校生と大学生向けに鑑賞会したらしいけど、ああいうの事前に言ったのかな。ドラマとか映画のセックスシーンってポルノと違って唐突に表れて、それが結構衝撃になるので処理できないことが多いと思うのですが、高校生とか大学生はまだ若いし、全然映画とかドラマ観ていない子たちだったらけっこうトラウマになるだろうな。