@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター』

 

ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター』 (The Piano) [1993年オーストラリア・ニュージーランド・フランス] [2024年4Kデジタルリマスター]


19世紀半ば。エイダはニュージーランド入植者のスチュアートに嫁ぐため、娘フローラと1台のピアノとともにスコットランドからやって来る。口のきけない彼女にとって自分の感情を表現できるピアノは大切なものだったが、スチュアートは重いピアノを浜辺に置き去りにし、粗野な地主ベインズの土地と交換してしまう。エイダに興味を抱いたベインズは、自分に演奏を教えるならピアノを返すと彼女に提案。仕方なく受け入れるエイダだったが、レッスンを重ねるうちにベインズにひかれていく。監督&脚本はジェーン・カンピオン。出演はホリー・ハンター(エイダ)、アンナ・パキン(フローラ)、サム・ニール(スチュアート)、ハーヴェイ・カイテル(ベインズ)ほか。

 

 全体的に男性の身体を非常にエロティックに撮っていて(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でもそうだったけど)、特にお尻を必要以上にしつこく撮っている。ゲイの男性監督だってあんなに男性のお尻を撮らないよ。あれは見る女性、見られる男性を意識しているのだろうし、90年代に非常に観客(特に男性)にインパクトを残しただろうな。女性は男性のここも見ているんだよと言っているのかもしれない。

 

 またこの女性は男性のここを見ているというこの映画の画期的な点で言うと、エイダが最後に好きになるのがいっけん粗野な感じでちょっと暴力的だけど趣味を理解してくれるベインズを恋愛の相手として主体的にエイダが選んでいるという点だ。世間的にも観客的にも、どう考えても知的なスチュアートの方が魅力的に見えるのだが(ましてはそれがサム・ニールだ)、それでも最終的にスチュアートをふるのだ(まあ指を切り落とすという史上最低な行為をしたことの反動もあると思うけど)。本作のエイダは『風と共に去りぬ』であのバトラーをふったスカーレットに続くかなり英雄的ヒロインだと思う。またベインズは土地持ちで、エイダはピアノという才能がある、持っている者同士の恋愛でもあるので、何か持っているもの同士こそ恋愛でうまくいくという非常にモダンな視点の恋愛映画でもあると思う。

 

 エイダは声を奪われている女性であるが、自分で恋愛する相手を選び、時に男性の身体を弄ぶ積極的な女性だ。本作は女性の主体性と恋愛についての凄い映画だと思う。