@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ウィ、シェフ!』

 

『ウィ、シェフ!』 (La Brigade) [2022年フランス]

 

一流レストランでスーシェフを務める女性カティは、シェフと大ゲンカして店を飛び出してしまう。やっとのことで見つけた新しい職場は移民の少年たちが暮らす自立支援施設で、まともな食材も器材もない。施設長ロレンゾは不満を訴えるカティに、少年たちを調理アシスタントにしようと提案。料理がつないだ絆は少年たちの未来のみならず、天涯孤独で人づきあいが苦手だったカティの人生にも変化をもたらしていく。

監督はルイ=ジュリアン・プティ。出演はオドレイ・ラミー(カティ)、フランソワ・クリュゼ(ロレンゾ)ほか。

 

 自分でレストランを始めるまでのつなぎとして自立支援施設の料理人(おそらく栄養士も兼任)を始めるカティだが、その自立支援は未成年の男性を対象にしている施設で、これはけっこう重要なポイントだ。施設に滞在している男性たちは故郷では「料理なんて女のすることだ、男は仕事で家族を支えるべきだ」というジェンダー意識を強く内面化している子たちだ。だからあの施設はどちらかというと男性に向けての職業斡旋所みたいな意味合いの強い施設だと思う。それもあってか施設長のロレンゾも「男の子なんか質より量だろう」と間違った意識で食事支援してしまっている。(このへんは施設としてどうなの?と思うのだが...) そこにカティは料理人のプロ意識からだと思うが、時間がかかってでもいいから質の高い料理を提供したいと努力する。これが結果的に良い方向に向かっていくのがこの映画の肝だ。

 

 この突然現れた規範にとらわれない人が無意識に革命を起こしていく物語である。この無理矢理な力が悪い方向に行使されるのが、成人だと判断され強制送還されたあの男性に対してだ。(ごめんなさい、名前を忘れてしまった) あれくらいどうしようもないくらい酷い力を行使されるのに反対するのに、映画のラストの料理番組でのカティの行動があるわけだが、現実があまりに酷すぎると、あれくらい大げさに反抗する必要があるんだよなと思った。もちろん映画としては過剰な演出かもしれないが。

 

 全体的には良い作品だと思うが、カティがああいう施設で働くには重労働すぎるし、ロレンゾの恋愛模様は必要ないがするし、事実を元にしているらしいがおそらく脚色がけっこう施されている感じがする。また仕事ではなく学業に興味を示していた子が結果的にどうなったのかも教えてくれたらと良かったなと思う。映画としてはかなり労働賛歌みたいなところがあったので。そのあたりはあまり良くない気がした。