@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ビニールハウス』

 

 

『ビニールハウス』 (Greenhouse) [2022年韓国]


貧困のためビニールハウスに暮らすムンジョンは、少年院にいる息子と再び新居で暮らすことを夢見ていた。その資金を稼ぐため、盲目の老人テガンと、その妻で重い認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている。ある日、ファオクが風呂場で突然暴れ出し、ムンジョンと揉み合う際に床に後頭部を打ちつけ、そのまま亡くなってしまう。ムンジョンは認知症の自身の母親をファオクの身代わりに据えることで、息子と一緒に暮らす未来を守ろうとするが……。監督&脚本はイ・ソルヒ。出演はキム・ソヒョン(ムンジョン)ほか。

 

 監督は女性で、なんと私と同世代だ。もうそんな時代になって来たかと感慨深い。初の長編映画で脚本も編集も自身によるものらしい。ということは全体的なまったりとした演出も意図的ということだろう。真面目な方だな。それなのに日本語予告がだいぶ監督の意図を無視して作られている。『パラサイト 半地下の家族』を意識したキャッチコピーがつけられている。正直、予告編が一番面白かったけど、あまりにも監督の演出を無視しすぎじゃないかな。

 

 今年だけで視覚障害をプロットに置いた映画を立て続けに観たのだが、個人的にそれがあまり好きじゃない。ということはおのずと本作もあまり好きではない。しかも認知症とか精神疾患の描き方も少し悪い気がするし。しかもそれらが全てネガティブなものとして描かれているし。『梟ーフクロウー』よりかは煽情的じゃないにしろ、やはり面白さは『梟ーフクロウー』のほうが面白かったな(罪ですね)。

 

 まあさすがにラストのビニールハウスが燃えても息子とその友達たちはさすがに死んでないだろうと思いたいけど、映画としてもさすがにムンジョンに不幸を詰めすぎているような。それでいてまったりとしたテンポで進んでいく映画なので退屈だった。罪を与えるというテーマもムンジョンが急に自分を殴ることで自身に下しているのだけど、急に唐突にそれが現れるので、その罰の描き方も上手くいっていないように感じた。

 

 視覚障害である彼も認知症と診断されただけで自殺しようとしたり、殺された女性も主体性をずっと奪われているし、ムンジョンを慕っていたあの女の子の殺人も唐突だ、とにかく社会問題や病気や障害を描きたいというより、観客に"衝撃"を与えたいだけなのかもしれない。