@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『DOGMAN ドッグマン』


『DOGMAN ドッグマン』 (DOGMAN) [2023年フランス]

 

ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代。犬たちの存在に救われながら成長していく中で恋を経験し、世間になじもうとするも、人に裏切られて深く傷ついていく。犬たちの愛に何度も助けられてきた彼は、生きていくために犬たちとともに犯罪に手を染めるが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう。監督&脚本はリュック・ベッソン。出演はケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(ドッグマン/ダグラス)ほか。

 

 「そもそも複数の女性たちからハラスメントで訴えられているリュック・ベッソンの映画」もしくは「ドレスを着たサイコキラーが出てくる映画」などかなり懸念を抱いて観ていたのだが(何なら酷評してやろうと思ってた)、意外と良くてびっくりした。

 

 クィアっぽい映画だが、サイコキラーの映画ではない。どちらかという正当防衛ゆえの殺人だったし。福祉の支援が切られてしまったり、長年好きだった女性にフラれたゆえの虚無からあんな感じになったらしく(自ら男性も女性も殺していないのでけっしてミソジニーではない)、この受動的な感じが非常に『ジョーカー』に近い。『ジョーカー』のアーサーもかなり受動的なヴィランだった。ただジョーカーと違って、ドッグマンは母親を殺していないし(父も殺してないし、おそらく兄も殺していないのでは)、大衆も扇動しない。何ならけっこう人を信じていてコミュニケーションも上手だ。犯罪稼業も不当に富を蓄えている富裕層からしか盗まないので、かなり好感度高いみんなが好きな主人公だ。

 

 ただ久しぶりに男性が主人公だ。ドッグマンの性自認とかセクシャリティについての詳しく言うという感じでもなく、自分がなりたい姿がたまたまマリリン・モンローとかエディツト・ピアフって感じなのか、まあとにかく詳しくは言及しない、されない。だけど日本語字幕が女性言葉で訳されていて、何だかなという思い。まあここで真剣に考えても、リュック・ベッソンが「ただカッコイイ」からこの設定にした可能性の方が高そうだ。

 

 失恋の痛手から立ち直るあたりはハーレイ・クインっぽいし、本作はかなり『ジョーカー』と『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の良いところを持ってきた映画だ。ただ『ジョーカー』よりずっと好きだったな。まさか『ジョーカー』の反動みたいな作品をリュック・ベッソンが作るとは思わなかったよ。

 

 ただドッグマンの仕事が近所の揉め事を解決する万事屋みたいな仕事をしているっぽいのだが、この普段の仕事のことをもうちょっと詳しく描いても良かったかな。ただ映画の視点としてドッグマンの苦労した人生に焦点を当てていたのは良かった。あと時代設定がおそらく90年代~2000年前後くらいらしいが、途中に通話できるイヤホンが出てきたり、ビデオで録画する監視カメラが出てきたり、ちょっと時代設定が曖昧なのが気になった。

 

 キャバレーとか舞台のシーンは特に良かったな。キャバレー仲間のシェールとマドンナのクイーンたちも優しい。そういえばリュック・ベッソンは昔マドンナのMV↓を作ったことあるよね。ただ本作の中ではシェールとマドンナは仲良さそうだが、本人たちはけっこうビーフしている関係だ、本作最大の嘘だったシーンだ。

 

 


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