@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『テルマ&ルイーズ 4K』

 

テルマ&ルイーズ 4K』 (Thelma & Louise) [1991年アメリカ] [2023年4Kレストア]

 

ある週末、主婦テルマとウェイトレスのルイーズはドライブ旅行に出かけるが、途中で立ち寄った店の駐車場でテルマが男にレイプされそうになり、助けに入ったルイーズが護身用の拳銃で男を撃ち殺してしまう。ルイーズには、かつてレイプ被害を受けたトラウマがあった。警察に指名手配された2人は、さまざまなトラブルに見舞われながらメキシコへ向かって車を走らせるうちに、自分らしく生きることに目覚めていく。監督はリドリー・スコット。脚本はカーリー・クーリ。音楽はハンス・ジマー。出演はジーナ・デイビス(テルマ)、スーザン・サランドン(ルイーズ)、クリストファー・マクドナルド(ダリル)、ハーベイ・カイテル(ハル)、マイケル・マドセン(ジミー)、ブラッド・ピット(J.D.)、ティモシー・カーハート(ハーラン)ほか。

 

 何回も観ている大好きな作品で、この度4Kレストア版で初めて劇場で観ることができてとても幸せだった。本作を初めて映画館で観て改めて気づかされたのが、撮影の凄さだ。あんなにアメリカを南部に移動するのに、夕陽とか夜の車を走らせるシーンがとにかく映えていて...リドリー・スコットと言えば一つのシーンにカメラを何個も同時に回すことが有名だが、まだ本作撮影時にはその撮り方していなかったはず。それなのに全編に渡ってキマっている絵なのはちょっと異常事態だと思う(褒めてる)。あと映画冒頭の監督とか脚本家とか役者のクレジットが出てくるシーンの背景が実は映画ラストのテルマとルイーズが崖から飛び降りたシーンのグランドキャニオンだったことにも初めて気づいた。

 

 また笑えるシーンとかも多いことに気付いた。テルマが電話口でやたら優しいハーランにガチャ切りするシーンとか、ダリルの家でみんなで何かしらのロマンティックな映画を観ているシーンのアホさとか、とにかく笑えるシーンがたくさんあった。

 

 それと同時に励まされる勇気づけられるシーンもたくさんある。テルマを襲った男が死んだ場所でハルから調書を受けているウエイトレスの女性が精いっぱい「このレイプ男は死んで当然」「あの二人(テルマとルイーズ)は犯人じゃないよ」と喋るシーンはなんてことないシーンかもしれないけど、とても良いシーンだ。あの女性は限りなくテルマとルイーズに共感し勇気を与えられる我々観客に一番近い立場だろう。見ず知らずの男のキャットコールに"NO"と銃を突きつけるシーンとか、スピード違反を取り締まりに来た警察を銃で脅して「妻と子どもがいるんだ」と言う警察に向かってテルマが「じゃあ奥さんを大事にしてね、私みたいになるから」と言うシーンとか、2人がどんどん開放的になっていく様とか、何よりラストの車で崖に落ちていくシーン!!

 

 初見時にも何となく分かっていたけど、この映画はけっこう男性の描き方も深い。完全に初めからウザいダリルやハーランを除いて。J.D.は泥棒だけどセックスはやたら上手いらしく女性の気持ちもしっかり理解している。J.D.が唯一激怒させた相手もあのハーランだけだ。ルイーズの恋人のジミーも少し間が悪い男だけど(女性は結婚したがってるモンなんだって勝手に思っている)、何だか憎めなくて愛らしい。ああいう気が強いルイーズがジミーみたいな男が好きなのも何となく分かる。おそらく劇中でもルイーズの方が年上って設定じゃないかな。というか女性役者2人のロマンスの相手が年下の男性役者って今も少ないのに、本作はそこもやってくれている。警察のハルは人情派の警察でテルマとルイーズを救ってやりたいと最後まで思っていた。そのハルの男の優しさに気付かないくらいにテルマとルイーズは酷い目にあってきたのだ、その優しさからも逃げたいと思わせる酷い社会なんだよ、女性にとっては。1991年の映画なのに全然形骸化してない。

 

 あと映画の内容とか関係ないが戸田奈津子が担当した字幕がとにかく変だった。英語がちっとも喋れない私が違和感を感じたのだから相当アレだぞ。ただ伝説の「ファックしな」字幕が観れて少し感慨深いものがあったけど。2023年のレストア版だし、あの頃よりスラングとか地方英語の研究とか進んでいるのだから、字幕も新しくすれば良かったのに。

 

 

2024年3月6日加筆

男性登場人物の役名が間違っていたため、編集し直しています。