@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

午前十時の映画祭13『グリーンマイル』

 

午前十時の映画祭13『グリーンマイル』 (The Green Mile) [2000年アメリカ]

 

大恐慌時代の1935年、ポールは刑務所の看守主任を務めていた。グリーンマイルと呼ばれる通路を通って電気椅子に向かう受刑者たちに安らかな死を迎えさせてやることが、彼らの仕事だった。ある年、この刑務所に身長2メートルを越す黒人の大男、コーフィが送られてくる。双子の少女を殺害した罪で死刑囚となった男だ。ところがこの男は、ある日不思議な力でポールが患っていた病気を治してしまう……。監督&脚本はフランク・ダラボン。出演はトム・ハンクスデビッド・モースジェームズ・クロムウェルバリー・ペッパー、ジェフリー・デマン、ウィリアム・サドラーゲイリー・シニーズマイケル・クラーク・ダンカン、マイケル・ジェッター、サム・ロックウェルグレアム・グリーンハリー・ディーン・スタントンボニー・ハントパトリシア・クラークソンほか。

 

 午前十時の映画祭13で『グリーンマイル』を観てきた。このブログで何回も言及しているが、私はトム・ハンクスが大好きで(デビッド・モースも好きだ。顔の好みが分かりやすい...)、もちろんこの映画は何回も自宅で鑑賞している。BSやCSで何回も放送されているようで、おそらく公開当時から日本でも人気だった作品なのだろう。ただしやはり3時間以上という上映時間は長すぎるなとも感じた。

 

 同じスティーブン・キング原作でフランク・ダラボン監督だと『ショーシャンクの空に』ほうが断然好きなんだけど、まあ『グリーンマイル』の死刑の細かい描写とかは今観ても肝が冷えるし、やはり死刑制度への疑問が作品の根底に流れているのだろう。また同時にコーフィは聖書に出てくるキリストをもっと穏やかにした人物で色んな奇跡を起こすんだけど、特に病気の治癒をしつこく描写することで、アメリカ人の病院嫌いを描写しているのだと思う。そもそも奇跡は信じるのに、医療や科学は信じないあたりすごく危ない価値観の映画だが、それがいわゆる感動作になっているのはこの映画の危ないところだろう(原作通りなのだろう)。

 

 またこの映画は非常に白人男性中心の映画で、看守は全員アメリカ人で白人だ。この映画の非白人は一部を除いて全員死刑囚で彼らにストーリーがあることにはあるのだが、死刑の残虐性を強調するだけの存在だ。特にコーフィは絵に描いたようなマジカルニグロで(本当に魔法を使う)、刑務所に来る前の人生はほとんど語られないし、今後も語られることはないのだろう。まあ劇中で何回も「グリーンマイルで起きたことは外にはもれない」と繰り返されるように、刑務所内で起きることに対して外からの目線で見てはいけないということなのだろうが、やはり違和感をぬぐい切れない。ここが一番90年代映画って感じだった。

 

 あとポールやブルータルなどの看守たちの人間を描くために、嫌な看守であるパーシーを登場させたり、目も当てられないくらい酷い死刑囚ウィリアムを登場させたりするのだけど、この二人の描写はまるまる必要ない気がした。というのもこの二人の嫌な性格の感じは映画のスパイスとしてのみ存在しているだけで、ラストは酷い死に方をする(役者が気の毒だ)。だったら純粋にコーフィのストーリーを深く描いて、ポールとコーフィの交流をもっと描くべきだろうし、それこそ上映時間ももっと短くなったでしょ。

 

 またこの映画は女性があまり出てこない。まあ男性刑務所を描いているから当たり前なんだけど、名前とセリフがあるのがポールの妻ジャンと所長ハルの妻メリンダのみだ。特にメリンダはコーフィに奇跡で病気を治癒してもらうのだが、そもそもあの夫のハルが病院を信用している感じがなく、メリンダの死を目の前にあたふたしている感じ、すごく禁欲を内面化している男性っぽくて危ない...そもそもハルがもっと病院を信用していたらメリンダは死にかける前に適切な治療が受けれたのではないかとすら感じた。そもそもポールも尿路感染症患っているのに病院に中々いかない辺りも、あれだけでこの男性たちはすごく危ないんじゃないと思ってしまう...

 

 ただし女性はトークンみたいではあるが、ヘンなヌードになるシーンがないだけだいぶマシだとも思ってしまった。なぜならコーフィの奇跡によりポールの尿路感染症は治って、さらにはセックスもできるようになって、なぜか知らないけど一晩で4回もセックスしたというくだりがあるんだけど(おそらくここは笑うところなのだろう。そもそも一晩に4回とか物理的に無理だろうし、なんか妻からしたら相当ウザいだろう)、いわゆる絶頂の声を出すのが男のポール(トム・ハンクス)だけで、ここはすごく誠実だと思った。