@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『カラー・パープル』

 

『カラー・パープル』 (The Color Purple) [2023年アメリカ]



横暴な父に虐待され、10代で望まぬ結婚を強いられた女性セリー。唯一の心の支えである妹とも離れ離れになり、不遇な日々を過ごしていた。そんな中、型破りな生き方の女性たちとの出会いや交流を通して自分の価値に目覚めたセリーは、不屈の精神で自らの人生を切り拓いていく。監督はブリッツ・バザウーレ。出演はファンテイジア・バリーノ(セリー)、タラジ・P・ヘンソン(シュグ)、ハリー・ベイリー(ネティ)、H.E.R.(スクイーク)、ダニエル・ブルックス(ソフィア)、シアラ(ネティ)、コールマン・ドミンゴ(ミスター)ほか。

 

 スティーブン・スピルバーグが監督した1985年の映画『カラー・パープル』とアリス・ウォーカーの原作を元にしたブロードウェイミュージカルの映画化である。ブロードウェイミュージカルを映画化するとなると毎度キャスティングに難が出るが、本作ではブロードウェイに出演していたファンテイジア・バリーとダニエル・ブルックスがそのまま同名役で出演していて、この辺もブロードウェイミュージカルが好きなファンも納得するキャスティングを行っている。この辺は『ディア・エヴァン・ハンセン』も同様だったが、これは確実に映画版『RENT/レント』の影響を感じるので、やはり映画版『RENT/レント』はそれなりに影響がある作品なのだろう。

 

 監督がビヨンセの『ブラック・イズ・キング』を手掛けているだけあって、所々にそのエッセンスを伺える。特に振り付けや美術やカラフルな衣装など。ただし映画はMVと違って画面が広いので、もう少しダンスのシーンはロングショットで撮って欲しかったかな。この辺はやはりスティーブン・スピルバーグが監督してたら、しっかりその辺はやっていたなと思った。原作や1985年版の映画だとけっこうシリアスで重たい話なのだが、本作では良い意味でやはりミュージカルなのでシリアスさが良い塩梅に落ち着いている。それでもやはりセリーが「hell no」を男たちに突きつけるまでが長くて辛いけどね。

 

 歌も良いし、役者たちも素晴らしい。ブロードウェイスターであるファンテイジア・バリーとダニエル・ブルックスだけでなく、ハリー・ベイリーやシアラやタラジ・P・ヘンソンやH.E.R.やジョン・バティステなど音楽が本業の人も多く出演していて豪勢な感じもある。

 

 ただ一つ残念なのが、原作にはあるセリーのレズビアン要素が本作でもあんまり掘り下げられていない点である。1985年版の映画でも原作者のアリス・ウォーカーも批判していたし、その反省が本作ではいかされているだろうなと楽しみにしていたのだが、案外肩透かしで(原作知らない人が本作を観たらセリーのレズビアン要素には気付かないだろう)...結局ワーナーとか大手が配給すると同性愛が薄まってしまうんだなと、まだまだ保守的な感じがした。