@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『白日青春ー生きてこそー』

 

『白日青春ー生きてこそー』 (白日青春 The Sunny Side of the Street) [2022年香港/シンガポール]

 

パキスタンから香港へやって来た難民の両親のもとに生まれ香港で育った少年ハッサンは、家族とともにカナダへ移住することを夢見ていた。ところがある日、父が交通事故で亡くなり、その夢は突然奪われてしまう。ハッサンは難民で構成されたギャングに加わるが、警察のギャング対策に巻き込まれて追われる身となる。一方、1970年代に本土から香港に密入境したタクシー運転手チャン・バクヤッは、警察官として働く息子との関係がうまくいかずにいた。バクヤッはハッサンの逃亡を手伝うことを決心し、2人の間には絆が芽生え始めるが、やがてハッサンはバクヤッこそが父の命を奪った事故を引き起こした運転手だと知る。監督&脚本はラウ・コックルイ。出演はアンソニー・ウォン(バクヤッ)、サハル・ザマン(ハッサン)ほか。

 

 監督がマレーシアから香港へ移民してきた経験があるらしく、所々監督の経験が反映されているだろうなという描写がちらほら。初監督らしい勢いがあるが、その反面荒々しくて脚本にも詰めの甘さが残る。でもそれをカバーするくらいにハッサン役のサハル・ザマンが大変素晴らしい。

 

 冒頭から中盤(サハルの父が死ぬところ)まで正直退屈で、特に会話がつまらない。映像にも工夫が見られない。「〇〇で困っていて、○○したい」みたいなセリフばかりで...もちろん本作で初めて難民の存在や国籍取得が難しいことを知る人もいるだろうからね、そこは我慢できる。それでも立て続けに起こる不幸な出来事に少し脚本を盛りすぎじゃないかと。

 

 でも色々あってバクヤッとハッサンが交流するシーンは面白いし、ラストはほろ苦くドライな感じで別れるのは誠実だと思った。そもそもハッサンが「僕はどこへ行けばいいのか分からない」というセリフにこの映画の全てが詰まっている気がする。バクヤッだって観客だってその望みをかなえて欲しいと思うはずだからね。

 

 ちょっと悪い言い方だけど、ハッサンが盗みを働くシーンは凄く良くてね、その盗んだ自転車で仲間と乗り回すシーンなんて最高だし、ああいうなんてことない遊びが移民や難民の子供たちの心の隙間を埋めるんだよね。

 

 前半は映像的にも工夫が無いなんて、書いたけど後半になるとしっかり夜のシーンが印象的で、いわゆる映えない漆黒を上手に撮影して、ハッサンの行く道の険しさを映しているんだろう。