@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『サン・セバスチャンへ、ようこそ』

 

サン・セバスチャンへ、ようこそ』 (Rifkin's Festival) [2020年スペイン・アメリカ・イタリア」

 

ニューヨークの大学の映画学を専門とする教授で、売れない作家のモート・リフキンは、有名なフランス人監督フィリップの広報を担当している妻のスーに同行して、サン・セバスチャン映画祭にやってくる。リフキンはいつも楽しそうな妻とフィリップの浮気を疑っている。監督&脚本はウッディ・アレン。出演はウォーレス・ショーン(モート)、ジーナ・ガーション(スー)、エレナ・アナヤ(ジョー)、ルイ・ガレル(フィリップ)ほか。

 

 あまりウッディ・アレンの新作を観る気が起きなかったんだけど、それでも郊外住みの映画オタクからしてみれば、ただでさえ洋画がなかなか公開されずされても少ない中で、彼の作品がその少ない一本の中に入っていれば映画館まで観に行ってしまうんだよな~。年齢のことにはできるだけ触れないようにしたいけど、それでも84歳くらいでこんな十代の映画オタクみたいな作品が作れるのは凄いと思う。

 

 ここ数年は映画や映画文化そのものへの愛を捉えた作品が多く公開されてけど、実は本作もその中に入る作品ではないかな?随所に監督が影響を受けたか、好きな映画のオマージュがモノクロ映像で隠すことなくそのまま挿入していて潔いとすら思った。私が理解できたのはフェデリコ・フェリーニオーソン・ウェルズ(『市民ケーン』)とジャン=リュック・ゴダール(『勝手にしやがれ』)とイングマール・ベルイマン(『第七の封印』)だけだったのだが、他にもたくさんあった。

 話の内容は正直いつものウッディ・アレンというか、付き合っていた男女が分かれて新しい女性と出会うも、その女性とも上手くいかず、結局男性が一人黄昏て終わるみたいな話で、つまりいつもと同じだ。ただ本作は場所がスペインで、役者が違う。ここ数作はティモシー・シャラメとかジェシー・アイゼンバーグとか若いチャーミングな役者が演じてくれてたおかげで、ウッディ・アレンの毒っ気が中和していい塩梅になってたのだが、本作のウッディ・アレンの写し鏡的役者が同じく80代で背丈も雰囲気もソックリなウォーレス・ショーンが演じることで、毒っ気が中和できていなく、危うさが滲み出てきていた。それに主役だけ80代で周囲の女性がやたら若くなってしまっているのもね...まあ映画業界のスノッブな感じを皮肉っているのが本作の肝みたいなところがあるので、もしかしたらわざと歳の差があるキャスティングをしたのかもしれない(男性が年上、女性はひとまわり年下なんてカップルは掃いて捨てるほどいるだろうしね)。

 

 おそらく今アメリカで人気のある男性や女性の俳優がウッディ・アレンの作品に出演するのはリスクでしかないので、結局出演してくれるのが昔馴染みかヨーロッパのアメリカとは少し距離を置いているであろう役者たちだけだ。今年海外で公開されたウッディ・アレンの新作の方は、もはやアメリカは製作にすら絡んでいないらしく、本当にウッディ・アレンアメリカには戻ってこない、もしくは戻って製作するつもりはないんだなと思った。別に彼の熱心なファンではないですけど、本作を観てその思いが如実に伝わってきた。