@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『僕らの世界が交わるまで』

 

『僕らの世界が交わるまで』 (When You Finish Saving the World) [2022年アメリカ]


DV被害に遭った人々のためのシェルターを運営する母エブリンと、ネットのライブ配信で人気を集める高校生の息子ジギー。社会奉仕に身を捧げる母と自分のフォロワーのことで頭がいっぱいのZ世代の息子は、お互いのことを分かり合えず、すれ違ってばかり。そんな2人だったが、各々がないものねだりの相手にひかれて空回りするという、親子でそっくりなところもあり、そのことからそれぞれが少しずつ変化していく。監督&脚本はジェシー・アイゼンバーグ。出演はジュリアン・ムーア(エブリン)、フィン・ウルフハード(ジギー)ほか。

 

 A24が製作して俳優のジェシー・アイゼンバーグの初監督作品だ。この感じだとどうしても比べるのは同じく俳優出身のグレタ・ガーウィグの『レディ・バード』だが(二人とも同じ歳!)、グレタがミレニアム世代意識と自身の人生を色濃く反映しているのに対し、ジェシーはあまり自分の人生を投影している感じは無いし、SNSとかYouTuberとか出てくる設定がかなりモダンだし、どっちかというZ世代的な価値観で製作している感じがある。常に第3者的な外からエブリンやジギーを見ているのが特徴的だ。監督デビューにしては面白い視点だと思う。

 

 その他者を見るような視点は撮影スタイルにも表れている。まずエブリンやジギーを撮るとき、必ず部屋の外から撮って、登場人物たちを俯瞰して見ている感じがするし、鏡越しから撮っているのも、外から二人を見ている。この外から見ているというのもエブリンとジギーが交流する仕方にも表れていて、エゴが強いから性格が似ていて上手に交流できない。だから第3者を介在して交流しようとする(決してそれが父親ではない)。政治に詳しくないジギーが好きだった女の子にフラれて「世界を変えるのは〇〇な人だよ」(〇〇なところのセリフ忘れた)と言われるんだけど、その〇〇を仕事にしてるのが母エブリンだ。エブリンも少し肩入れしすぎている男の子からそっけなくされて、ようやくジギーがYouTubeであげた動画という第3の物を介在してジギーを理解しようとする。そしてようやく二人が交流するかな?というところで映画が終わる。少しほろ苦い終わりだけど、親子の関係を少し距離を置いたところで見てるのが面白いなと思った。