@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『プリティ・リーグ』Amazon Prime

 

プリティ・リーグAmazon Prime

 

 1992年にペニー・マーシャル監督が映画化した『プリティ・リーグ』のドラマ・リメイクだ。そもそも映画も大好きだったのだが、ドラマ版はそれ以上に良くて、全体として非常に良くて、1992年版では描かれなかった場面(クィアと人種差別と黒人女性の野球選手)や社会の雰囲気を中心に描かれていて、特にピーチズの女性チームメイト同士の連帯や黒人女性同士の連帯や、そして強調すべきはクィアレズビアンだ。野球の中にレズビアンがあるのではなく、レズビアンの中に野球があるという指摘をTwitterでみたが、本当にそうだった。だってカーソンもグレタもジョーもルーペもジェスもマックスもみんなクィアレズビアンだもん。

 

 ドラマはカーソンとマックスの二人を中心に進み、カーソンはピーチズでリーグ初の女性監督としてやレズビアンとして恋人のグレタとどう向き合っていくかが描かれる。マックスは黒人女性としてピーチズに入れないので、最初はプロ野球選手をあきらめるのだが、周りからの励ましや同じ黒人女性として男子チームに所属している黒人女性選手に触発され女子プロ野球選手への道を再び歩き始める。そしてカーソンもマックスもレズビアンとしての自分に葛藤しながらも最後はしっかりとそんな自分を受け入れて前に進んでいる。クィアの描き方が非常に丁寧だ。文字通りカーソンもマックスも自分たちのリーグを見つける話だ。また本作で有名なセリフである「野球に泣くなんてことはないんだよ」はチームメイトが監督して苦戦しているカーソンにいうセリフに変更されていて、非常に興味深かった。というか男性はあまり重要視されず、女性たちの連帯を強く描ている。そのため邦題は原題に寄せるべきだった。

 

 全エピソードが大変すばらしかったが、特に観てほしいのがエピソード6である。『オズの魔法使』が再上映している時期にカーソンがチームメイトのルーペが夜に静かに出かけていくのを勝手に後を付いていき、密かに運営されているゲイバーにたどり着くのだ。まずそのバーに入るのに「あなたはドロジーの友達か?」と受付の人に聞かれるのだが、これは当時のゲイバーで実際にあったそうだ。(そもそも『オズの魔法使』がキャンプな映画だし、ドロジーを演じるのはジュディ・ガーランドだ) そしてカーソンがそのゲイバーに入っていくシーンなんて、ほとんどドロジーがオズの世界に入っていくシーンの再現だ。そしてバーの中でルーペとジェスを見つけて、彼女たちがレズビアンであることを知るのだ。そしてバーのマスターを演じるのはオリジナル映画にも出演したロージー・オードネルだ。そこでクィアとして生きている人々にあってカーソンは感銘するのだが、すぐに警察のがさ入れが入り幸せな空間はすぐに壊れてしまう。そのシーンで強調されるのが、『オズの魔法使』の有名なセリフである「おうちが一番」である。これはこの時代のクィアの人々が生きていく難しさと、クィアとして愛を育むのならおうちが一番安全で外の世界は危ないんだということが一瞬で分かるシーンで、本当に鳥肌がたつ演出であった。そしてこのシーンと同時期にマックスは家の中で行われていたクィアなパーティで恋人を見つけるのだが(もちろんゲイバーに黒人は入れないので、クィアな人々の出会いはもっぱら家で行われるパーティーだろう)、この二つのシーンの交差性は凄いとしか言いようがない。このエピソードだけでも見てほしい。できれば全部見てほしいけど。