@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

午前十時の映画祭13『バベットの晩餐会』

 

 

午前十時の映画祭13『バベットの晩餐会』 (Babette's Feast) [1987年デンマーク]

 

20世紀のデンマークを代表する女流作家カレン・ブリクセンの同名小説を映画化した群像劇。19世紀後半、デンマーク辺境の小さな漁村に質素な生活を送る初老を迎えたプロテスタントの姉妹がいた。そこにパリコミューンで家族を失ったフランス人女性バベットがやってくる。その後、彼女は家政婦として長年姉妹に仕えるが、宝くじで大金を手にいれると、村人のために晩餐会を開きたいと申し出る。監督はガブリエル・アクセル。出演はステファーヌ・オードラン(バベット)、ビアギッテ・フェダースピール(マーチーネ)、ボディル・キュア(フィリパ)ほか。

 

 CSとかBSとかで放送するたびに観てしまうくらい好きな作品なので、改めて映画館で観ることができて良かった。来年度も午前十時の映画祭やってください。こうやって改めて映画館で観ると、本作は結構笑える場面が多い映画である。もちろんバベットの過去がとても辛いものであるのだが、やはり晩餐会での美味しい食べ物を食べて村人たちが少しお酒がまわって開放的な気分になっているんだなというのが面白いし、本作を映画館で観直して気付かされた。家のテレビだと、お酒が回っていて顔が赤くなっている村人たちの表情がよく伝わってこなかったなと。

 

 父親の思いを継ぐ敬虔なクリスチャンだが、それが時に父親に支配されているようにも見えるマーチーネとフィリパと、外からやってきたバベットとの交流を通して、芸術(料理)を通して人々の心を開いたバベットのほうが父より神に近い存在だと認め、それまで支配されていた父親から解放され、女性同士の交流こそが一番天国に近づけるのだと終わらせる本作は、やはり凄くフェミニズム的な話だと思った(もちろんキリスト教フェミニズムは非常に相性が悪いのですが)。

 

 晩餐会に出てくる料理はすべて美味しそうだが、そう言えば『バベットの晩餐会』で出てくる料理って『バベットの晩餐会』以外で見たことないなと思うくらい、今とはけっこう違うなと。贅を尽くした料理もただ美味しそうに見えるのではなく、しっかりその料理の裏にあるメッセージや製作側の言いたいことが詰まった作品は非常に今日的にも意味があるなと言うか、特に日本のドラマってこういう料理がメインのお話が多いけど、その裏にあるなぜその料理が存在しているのかみたいな設定が凄く薄いのが多くて、それを踏まえると日本のクリエイターたちはぜひ本作を観て欲しいなと。