@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『グランツーリスモ』

 

グランツーリスモ』 (Gran Turismo) [2023年アメリカ]

 

世界的人気を誇る日本発のゲーム「グランツーリスモ」から生まれた実話。ドライビングゲーム「グランツーリスモ」に熱中する青年ヤン・マーデンボローは、同ゲームのトッププレイヤーたちを本物のプロレーサーとして育成するため競いあわせて選抜するプログラム「GTアカデミー」の存在を知る。そこには、プレイヤーの才能と可能性を信じてアカデミーを発足した男ダニーと、ゲーマーが活躍できるような甘い世界ではないと考えながらも指導を引き受けた元レーサーのジャック、そして世界中から集められたトッププレイヤーたちがいた。想像を絶するトレーニングや数々のアクシデントを乗り越え、ついにデビュー戦を迎える彼らだったが……。監督はニール・ブロムカンプ。出演はアーチー・マデクウィ(ヤン)、オーランド・ブルーム(ダニー)、デビッド・ハーバー(ジャック)ほか。

 

 よく出来ている映画だと思うが、色んな嫌いな要素が私の中で渋滞を起こしていて私はこの映画の正しい観客ではなかった。

 

 まずサクセスストーリーすぎる。それにオーディション番組みたいな若者の青田買い構成も好きじゃないし。この映画の根底に流れるマッチョ思考が肌に合わないし。結局この映画はゲーム映画ではなく王道のスポーツ映画ということだろう。そのせいでヤンとジャックの本来だったら魅力的に映るのであろう師弟関係も全く響かなかった。あの交通事故が起きた時点でこの映画も終えるべきだったけど、そんなことなかったゴールまでハイスピードでサクセスを駆け抜けていった。こればっかりは「素人をレースに出すな」と正論を言った敵チームが正しいと言わざるを得ないけど、そんな敵チームも最後までただの敵だった。先行作だと『フォードVSフェラーリ』(ジェームズ・マンゴールド)みたいなレース映画もあるけど、あれはラストはマッチョ思考を否定していたので、あの映画は優れていたんだと今さらながら思う。

 

 あと一番酷いと思ったのが女性の描き方だ。あれじゃ添え物よろしく本当に”トロフィーワイフ”だよ。ヤンの母親だってヤンの心配をするか家事しているかだ。久しぶりにこんな薄っぺらい女性表象を観た。あんなに父親とは厚みのある関係を描けたのに、その反動で母親とはあんな薄い関係しか描けないの?確かに黒人男性の父親との関係を濃く描きたかった製作側の意図は理解できないこともないんだけど(人種>ジェンダー)、2時間15分くらい上映時間確保しておいて、そりゃ酷いよ。

 

 まあそんな親子関係もリアルだなと思うのは、ヤンの何度も立ち上がれる自己肯定感の高さはそれこそあの家族がいるからなんだよね。家族からも愛されていて、ゲーマーに対しても多少理解がある。それだけでだいぶ愛と理解に溢れた家族なんだなというのは伝わってくる。それにイギリスが舞台っていうのも大きくて、聞いている音楽もエンヤとかケニーGと言うのもイギリスの若者っぽく人種に捉われず音楽を聴いている。これがもしアメリカだったらもう少し家族の要素が強くなるし、あんなに上手くサクセスできないだろうな。アメリカの黒人の人々の感想が気になるところ。

 

 っとまあこの映画にあーだこーだ言ったところで、我々日本人はこの映画に出てくるダニーの周りをまるでハエのようにたかる無口なセリフのない日本人なんだよ。ハエにはハエの映画が他にあるよ。どうせヤンがどれだけサクセスしても日産がどれだけ成功しても我々日本人には何にもメリットはない、日本の高級料理屋で寿司を食べているヤンを羨むくらいしかやることがない。そんな映画だ。