@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『Zola ゾラ』

 

Zola ゾラ』(Zola)

2015年にデトロイトの一般女性アザイア・“ゾラ”・キングがツイッターに投稿した計148のツイートと、その内容をもとにしたローリングストーン誌の記事を映画化したロードムービーウェイトレスでストリッパーのゾラは、勤務先のレストランにやって来た客ステファニと、ダンスという共通の話題を通して意気投合し、連絡先を交換する。翌日、ゾラはステファニから「ダンスで大金を稼ぐ旅に出よう」と誘われ、急な展開に戸惑いながらも一緒に行くことに。しかし、それは悪夢のような48時間の始まりだった。

 Twitterに連投されたツイートを元に映画化。凄い時代だなと思うし、こういう企画が通ってそれを黒人の若い女性監督が長編映画にするというのが良いし、それを配給したA24の独立性よ。

 

 長編映画だけど、87分という短さで、ソーシャルメディアのフィルターがかかっているような画面、常にスマホの通知音がして騒がしいのにスコアがクラシックで良い。そしてスリリングな脚本なので観ていて全く飽きない。

 

 『ハスラーズ』に次ぐストリッパー映画で、彼女たちの労働者としての側面を強く描いている。友情、人種、仕事、自尊心について上手に掘り下げている。それだけでなく人種が変わんだ時の一筋縄ではいかないシスターフッドについてでもある。

 

 ユーモアとシニカルを上手く用いているが、実際の出来事に対して客観的な立場が無いので、ドキュメンタリー映画みたいだ。でも根底には人身売買も絡んでいて、この映画のユーモアを受け付けられない人もいるかも。個人的にはもう少し人身売買について批判的な側面が打ち出されていて欲しかった。

 

 R18だけど、裸になるのは男性(中年以上が多い)がほとんどで、男性器も笑っちゃうような撮り方をしている。男性(買い手)の体を客体化している。それに対するようにゾラとステファニーの身体は主体的に撮られている。これはかなり意識的に撮っていると思う。

 

 ジャニクサ・ブラボー監督曰く「自分を認めてくれない、守ってくれない環境の中でゾラが主体性を構築していく話。また友情についての物語。つまり自分にとって完璧な相手と恋に落ちて、相手に傷つけられたことによって恋が冷めるという話のスピードアップ版」だそう。

 

 できればステファニーが自分が置かれた状況を打破して、ゾラと二人で男たちを倒す話を期待したけど、本作はあくまで若い黒人女性の目を通して語られるリアルな話なのだ。シスターフッドは鞘に納めて、セックスワーカーとストリッパーと自尊心とブラックフェミニズムと労働者を安く買いたたく資本主義の問題点の視線を持って本作を観たほうがよさそうだ。