@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

 

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』 (Wonka) [2023年アメリカ]

 

純粋な心ときらめくイマジネーションを持ち、人びとを幸せにする「魔法のチョコレート」を作り出すチョコ職人のウィリー・ウォンカは、亡き母と約束した世界一のチョコレート店を開くという夢をかなえるため、一流のチョコ職人が集まるチョコレートの町へやってくる。ウォンカのチョコレートはまたたく間に評判となるが、町を牛耳る「チョコレート組合」からは、その才能を妬まれ目をつけられてしまう。さらに、とある因縁からウォンカを付け狙うウンパルンパというオレンジ色の小さな紳士も現れ、事態はますます面倒なことに。それでもウォンカは、町にチョコレート店を開くため奮闘する。

監督はポール・キング。脚本はポール・キングサイモン・ファーナビー。出演はティモシー・シャラメ(ウィリー・ウォンカ)、ヒュー・グラント(ウンパルンパ)、サリー・ホーキンス(ウォンカの母)、オリビア・コールマン(スクラビット)、トム・デイビス(ブリーチャー)、キャラー・レイン(ヌードル)、ジム・カーター(アバカス)、ナターシャ・ロスウェル(パイパー)、リッチ・フルチャー(ラリー)、ラキー・ザクラルス(ロッティー)、キーガン=マイケル・キー(警察署長)、パターソン・ジョセフ(スラグワース)、マット・ルーカス(プロドノーズ)、マシュー・ベイントン(フィクルグルーバー)、ローワン・アトキンソン(神父)、サイモン・ファーナビー、ルーファス・ジョーンズほか。

 

 日本における宣伝ではティム・バートン監督による『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚のような扱いを受けているが、観れば分かるように1971年に公開されたメル・スチュアート監督による『夢のチョコレート工場』の前日譚であり、日本の宣伝はけっこう酷い誤解を与えていると思う。まあ『夢のチョコレート工場』は日本では公開されなかったし、逆に『チャーリーとチョコレート工場』は日本では大ヒットしたので、そういう宣伝をしたかった気持ちは理解できる。また主演のティモシー・シャラメが「ジョニー・デップの演技を参考にした」というインタビューが多く出回ったのも原因かもしれないが、本作を観ればハッキリとティモシー・シャラメは確実にジーン・ワイルダーを参考にしたことは分かる。

 

 また宣伝ではあまり伝わってこなかったが、観て驚くほどかなりのミュージカル映画であった。この王道のミュージカル演出からも分かるけど、本作はれっきとした『夢のチョコレート工場』の前日譚だ(『チャーリーとチョコレート工場』はミュージカルというより、歌が途中で挿入されているという感じ)。逆にこんなにミュージカルな作品久しぶりに劇場で観たので、観た後は大変景気の良い気分になった。曲も凄く良くて、ロアルト・ダールの世界観を本当に良く表現できていたと思う。それでも本作のオリジナルソングがどれだけ良くても、『夢のチョコレート工場』の "Oompa Loopa" "Pure Imagination"が歌われれると("The Candy Man"も歌って欲しかった)...もうこっちのほうが良いというか、泣いてしまった。特にPure Imaginationなんて...『glee/グリー』思い出しちゃうし、Fiona Appleによる秀逸カバーも思い出してしまう。

 


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(公式音源じゃないので削除される可能性あり)

 

 話の内容はかなりポール・キング監督の過去作であり名作(かなりの!!)『パディントン』シリーズと同じである。外からやってきた変人が周囲の人間に良い影響を与えて、親切でいることについてのお話だ。そこにウォンカの母親との絆(ヌードルもそうだが)が強調される。起業家精神を奮い立てるウォンカはある意味ですごくアメリカ人的な描かれ方だと思うが、その起業家精神に溢れるアメリカ人に周囲のイギリス人が振り回されるみたいなのが面白くて、おそらく主演はあえてアメリカ人をキャスティングしたのではないかと思うくらいだ。全体的に感動作になっていたが、よく考えればロアルト・ダールの登場人物って良い意味で全員狂っているし、特にウォンカなんてかなりの変人なので、この映画のウォンカからはその変人要素があまり感じられなかったのは唯一の残念な点だ。

 

 またウォンカ以外の登場人物も非常に良くて、印象に残る人物だらけだ。全員がロワルト・ダールの世界観を表現したかのようなセリフ回しや表情を見せてくれる。この辺はさすが『パディントン』シリーズを手掛けたポール・キングの手腕だと思う。久しぶりに出演した役者の名前を全員覚えておきたいと思った。個人的にジム・カーターが本作でも秘書みたいな役をやっていたのは『ダウントン・アビー』への目くばせだったし、ローワン・アトキンソンの顔芸も『MR.ビーン』へのオマージュだろう。少ししか出ないけどルーファス・ジョーンズは相変わらず可愛い。それに加えて本作はかなり愛らしいオジさんorおじいちゃん映画でもあり、ピンクの可愛い服を着ていたり、お茶目に歌って踊っておどけたりするので、そういう楽しみ方もできる。願わくばこういうお茶目なおばさんorおばあちゃんがもっとたくさん登場する映画が増えて欲しい。