@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『マーベルズ』

 

『マーベルズ』 (The Marvels) [2023年アメリカ]

 

規格外のパワーと不屈の心を兼ね備え、ヒーロー不在の惑星を守るため幅広く宇宙で活動していたキャプテン・マーベル。そんな彼女のある過去を憎み、復讐を企てる謎の敵が出現する。時を同じくして、キャプテン・マーベルと、まだ若い新世代ヒーローのミズ・マーベル、強大なパワーを覚醒させたばかりのモニカ・ランボーの3人が、それぞれのパワーを発動するとお互いが入れ替わってしまうという謎の現象が起こる。原因不明のこの現象に困惑するなか、地球には未曽有の危機が迫り、キャプテン・マーベルはミズ・マーベル、モニカ・ランボーと足並みのそろわないチームを結成することになるが……。監督はニア・ダコスタ。出演はブリー・ラーソン(キャロル)、イマン・ベラーニ(カマラ)、テヨナ・パリス(モニカ)、サミュエル・L・ジャクソン(ニック・フューリー)ほか。

 

 とにかくネガティブなニュースがたくさん出ていた映画だが、映画自体もそのネガティブさを吹き飛ばすほどの魅力は無い作品だった。もっとはっきり言うと質の悪い作品だったし、ずっと「悪い」が続く映画だ。脚本も粗末だし、あの視覚効果のクオリティの低さはどうしたものか。冒頭にダーが砕石しているシーンの美術とかもう舞台装置を見ているようだった。天下のMCUがコレだと本当にアメリカ映画の将来が心配になるレベルだぞ。やはり職場が悪いと自然と作品の質も落ちていくもんなんだよ。監督がポストプロダクションに参加しなかったのも原因の一つかもしれないが、今のMCUとかディズニーは作品を終わらせようとしている姿勢なので、そりゃクリエイターはポストプロダクションに関わりたくないよね。

 

 とりあえず本作の良いところも挙げると...まず黒人女性監督による作品で最大のオープニング成績を収めたそうです。またカマラが物語に深くかかわってくるのは面白いし、とてもユーモアと愛嬌がある子で憧れのキャロルに認めてもらうところなんてすごく良かった。というかこの映画の実質の主役はカマラなんだね。おそらくこの映画はカマラを登場させたくて作られたものだと思うが、そのカマラが出てくるドラマシリーズを一体どのくらいの人が観ているんだって話だし、そもそもキャロルの単独作品は1作しか製作されていないのに、もう世代交代みたいなものをさせられるのはやっぱり女性ヒーローの軽視がどうしてもMCUにあると思う。(褒めているはずがまた貶してしまった)

 

 キャロルがあの宇宙でやってきたことの回収の仕方もさ...105分くらいの上映時間で解決できるものじゃないし、MCUは絶対半端な気持ちで難民問題を取り扱いべきじゃないと思う。モニカだってせっかく出てきたのにキャロルへの複雑な思いが...みたいなものも半端なところで終わったし、そもそもモニカの人生ってもっと他にもあったでしょ。それなのに最後の自己犠牲的なオチはあまりに可哀そうだし、キャラクターアークを破壊してしまっていると感じる。本作全体言えるけど、提示される人物の情報に感情が付いていけず置いてけぼりにされていると感じる。カーン同様に本作のヴィランであるダーも魅力のない人物だ。あと『アントマン&ワスプ クワントマニア』のカーン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME3』のハイに続きMCUのヴィアンが連続して黒人と言うのもどうかと思うよ。モニカみたいに黒人の女性ヒーローをもっと魅力的に描くべきだよ。

 

 一番悲しかったのが『キャプテン・マーベル』にあったあの流れる音楽の意義(90年代の女性ロックとオルタナシーン)みたいなものも本作には無い。念のため言うとM.I.A.の"Double Bubble Trouble"とMissy Elliott&Skrillexの"RATATA"とBeastie Boysの"Intergalactic"とミュージカル『キャッツ』の"Memory"と意義のある音楽は流れるんだけど、これってたぶんカマラに合わせているんだよね。できればキャロルとカマラとモニカが音楽について話している描写があればな。後半なんてほとんど音楽流れなかったので、それこそポストプロダクションの仕事だろっ!って思うんだよ。とにかく残念な映画だった。