@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『エターナルズ』

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『エターナルズ』(Eternals)

 

遙かな昔から地球に存在し、7000年もの間、陰から人類を見守ってきたエターナルズ。最凶最悪の敵サノスによって半分が消滅させられた全宇宙の生命は、アベンジャーズの戦いによって復活したが、その時の強大なエネルギーによって新たな脅威が誕生し、地球に迫っていた。その脅威に立ち向かうべく、これまで身を潜めていたエターナルズが再び集結する。

 

 MCUくらい大型映画だと、監督はどのくらい自分の作家性を譲歩して娯楽映画にするかが鍵だと思っていたのだが、『エターナルズ』は完全に監督の作家性に添った作品に仕上がっており大変びっくりした。おそらくMCUアベンジャーズの古株メンバーたちが卒業していったため、新しい風を吹かせたかったという意図があったのだろうが、だとしたら成功したと思う。でも今までのMCUの映画が大変アメコミ的でかつテンポがかなり良かったのに対して、本作はほとんど3時間近い上映時間の中で、濃厚な人物描写や恋愛要素やチームのいざこざや友情を描いている。その反動で起こるアクションが少し地味であるため、賛否両論別れた理由は理解できる。

 

 それでも「つまらい」というわけではない。むしろ私は好きな部類に入る。まずクロエ・ジャオの得意としている自然描写が良い。マーベル映画だけどプラスティックな感じがほぼ皆無で、最近観た『DUNE』を彷彿とさせる。おそらくクロエ・ジャオとドゥニはお互いの作品に影響を及ぼし合っているのではないか?

 

 そしてMCUはディズニーに配給になってから同性愛を全く描かないと言われていたが(最大のマーケティングである中国で公開できなくなるので)、本作ではファストスとそのボーイフレンドとの情熱的なゲイ・キスシーンがしっかりと描かれている。またセルシとイカリスのセックスシーンもある。(PG12シーン) またファストスが人類に失望したきっかけが広島での原爆が使われたことがきっかけというシーンでかなり衝撃的なシーンがあり、まずアメリカの映画で広島の原爆がこんなに悲劇的なことだったんだというシーンがあることが少ないし、娯楽作品となればもっとそんなシーンは少なくなるはずだ。でもその悲劇を監督はちゃんと入れたのだ。この最大娯楽映画で。また物語の核である、我々が理想郷としていた故郷がとんでもない抑圧的なところでとんでもない家父長が存在していたという設定はクロエ・ジャオ監督自身のルーツが反映されており、これも中国で公開されない懸念を全く意識していない。以上の挑戦心は絶対に評価されるべきだし、おそらく今後の娯楽映画の在り方を変えるんじゃないかな?それをアジア系の女性監督が成し遂げてくれたんだ。

 

 と褒めてみたが、一応ダメなところも。まずギャグとシリアスの場面展開がヘタクソだと思う。それに登場人物も多いので、固有名詞が出てきても一体誰の話をしているんだとなるし。次に恋愛描写の比重が重くて、ほぼ全員恋愛していて、ちょっと...(逆に恋愛感情無しのセナとギルガメシュ尊い) 一番いやなのがスプライトのイカリスに届かない恋心を抱いていて、終盤良くわかない破滅的な行動をとるんだけど、あれはちょっとね。

 

 あとクロエ・ジャオはプライベートで私的なSNSアカウントで俳優のファンアカウントをフォローしているんじゃないかと思ってしまうくらい、各俳優オタは嬉しいシーンがある(笑)