@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『SISU シス 不死身の男』

 

『SISU シス 不死身の男』 (SISU) [2023年フィンランド]

 

1944年、ソ連に侵攻されナチスドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。老兵アアタミ・コルピは掘り当てた金塊を隠し持ち、愛犬ウッコとともに凍てつく荒野を旅していた。やがて彼はブルーノ・ヘルドルフ中尉率いるナチスの戦車隊に遭遇し金塊と命を狙われるが、実はアアタミはかつて精鋭部隊の一員として名を馳せた伝説の兵士だった。アアタミは使い古したツルハシ1本と不屈の精神を武器に、次々と敵を血祭りにあげていく。監督&脚本はヤルマリ・ヘランダー。出演はヨルマ・トンミラ(アアタミ)ほか。

 

 フィンランドが製作している映画だが、登場する主な言語は英語でおそらく多くの人に観てもらいたいと思って作っているのだろう。放浪する主人公が金塊を発見して、それを狙う強盗との逃亡劇を繰り広げるので西部劇のようだが、出てくる登場人物の人種は白人で、これをおそらくアメリカでやったら不味いだろうな思いながら観ていたし、戦争映画というよりかは限りなくゴア描写強めのアクション映画だ。

 

 章構成になっていて、全編に渡ってセリフが少ない。主人公が気持ちを吐露したりするなどの説明がなく(第3者が主人公がどういう人なのか説明することはあるが伝説の人物を語るようなセリフだ)、明確に映画で英雄が出てくる神話を作ろうとしていた。セリフが少なくとも映画的な凄さが伝わってくるので、これは明確に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のような映画を作りたかったのだと思う。そもそも『マッドマックス 怒りのデス・ロード』も北欧の神話からヒントを得ているので、詰まるところ、こういう種類の映画は構成が似てくるのだと思う。

 

 また『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と似ている点が、マックス同様に本作の主人公のアアタミが英雄なのかと思いきや、実は途中から登場するある女性がフュリオサのように英雄的な振る舞いをして、アアタミはそれを助けるという役割に変化するところだろう。あの女性たちはおそらく故郷をドイツ軍に焼かれて本人たちは慰み者になるところだったのが、アアタミと出会ったことでドイツ軍に復讐を果たす。あのシーンはすごくカッコイイし、この映画でおそらく一番カッコよく撮られているシーンだ。また『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場する鉄場の女たちはこうして生まれたのかみたいなことも思った。アアタミや犬も印象に残るがそれ以上に女性たちが印象に残るシーンだった(日本における宣伝では全く伝わってこないが)。

 

 ちなみに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』にはマックスと旅をともにしシリーズにも登場していた犬がいなかったが、本作のアアタミにはしっかり犬がいる(犬は死なない!馬は死ぬ!)。またマックスもアアタミも妻と子どもを亡くしのが放浪し他人を信じられなくなったという設定も共通点だ。