@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ザ・クリエイター 創造者』

 

『ザ・クリエイター 創造者』 (The Creator) [2023年アメリカ]


2075年、人間を守るために開発されたはずのAIが、ロサンゼルスで核爆発を引き起こした。人類とAIの存亡をかけた戦争が激化する中、元特殊部隊のジョシュアは、人類を滅亡させる兵器を創り出した「クリエイター」の潜伏先を突き止め、暗殺に向かう。しかしそこにいたのは、超進化型AIの幼い少女アルフィーだった。ジョシュアはある理由から、暗殺対象であるはずのアルフィーを守り抜くことを決意するが……。

監督&脚本はギャレス・エドワーズ。出演はジョン・デビッド・ワシントン(ジョシュア)、マデリン・ユナ・ボイルズ(アルフィー)、渡辺謙(ハルン)、ジェンマ・チャン(マヤ)、アリソン・ジャネイ(ハウエル)、スタージル・シンプソン(ドリュー)ほか。

 

 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が消化不良で終わったギャレス・エドワード監督が「スター・ウォーズでやりたかったことはこれなんだよ」と言わんばかりの内容だったし、デザインとか美術はもろ『スター・ウォーズ』みたいだった。それでもストーリーが全体的に暗いのは彼の作家性なのだろう。となるとやはり『スター・ウォーズ』の世界観に合わなかったよなと。

 

  本作の根底には生殖のテーマがあると思うが、それは『ブレードランナー 2049』っぽいなと思ったし、主人公のジュシュアがAIを持った人工人間なのか、それとも人間なのか、アルフィー人工知能を越えた存在なのかミステリー的な要素も絡んできて凄く面白かった。

 

 この映画を観ながら多くの人はベトナム戦争を思い出すだろうが、ニューアジアのデザインがほとんどベトナムとかタイの農村の方を意識しただろうが、なんかそれが小賢しいというか、普通に「アジアにだって都市くらいありますよ」とひねくれた気持ちになった。 また本作では人種やルーツの話をしないことで物語の複雑性を避けているようにも見える。

 

 『アバター』っぽいようにも見えるが、あれは王道の白人酋長ものだが本作の主人公は黒人であるジョン・デビッド・ワシントンである。それで"白人酋長"や"白人の救世主"を避けたつもりだろうが、人種の話をしないことで避けた要素がかえっていびつに目立ってしまっている。まさにジョン・デビッド・ワシントンは身体だけ借りられている状態であり、まさかの『TENET テネット』みたいになってしまっていた(おそらくこの指摘はされたくないだろうけど)。ジョン・デビッド・ワシントンは大作で連続で身体を借りられている状態なので、少しキャリアが心配になる。

 

 あとアジアの宗教は多様であるのに対して、この映画の中のニューアジアも寺院が登場するが、どう考えても信じられているのはキリスト教だ。救世主の話を子ども達に伝統しているし。結局この手の映画のなかにあるSF要素って...アメリカ的な西洋的なものなんですよね。

 

 どうせ本作のラストではロサンゼルスに帰ったし、だったら最初からニューアジアの戦争じゃなくて、ロサンゼルスでのAIとの戦争を描けばいいのにな。それだともろ『ブレードランナー』になってしまうのだろうな。やっぱり私は『ブレードランナー』派だな。こっちもアジアからの影響が出ている作品だが、もうはなっから「これはアメリカが舞台ですよ」って言っているだけあった『ブレードランナー』の方が安心して物語に没入できるんだよ。

 

 ただしロマンチックな終わらせ方とか、AIに希望をもたせてかつ無人戦闘機の非情性をしっかり表現できているのは凄いと思うし、アメリカでヒットしなかったのもこの辺が理由なのかな。アメリカってあまりにリアルなSFを毛嫌いする傾向ありませんか。自分たちの生活に近いSFじゃなくてんじゃなくて、自分たちの負の歴史に近いSFを毛嫌いしているっていうか。それでも私が見に行った劇場は席がけっこう埋まっていたので、それなりにヒットしていると思う。