@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『アラビアンナイト 三千年の願い』

 

アラビアンナイト 三千年の願い』(Three Thousand Years of Longing)

 

イスラムの説話集「アラビアンナイト」をモチーフに撮りあげたファンタジー映画。イギリスの作家A・S・バイアットの短編集「The Djinn in the Nightingale's Eye」を原作。古今東西の物語や神話を研究する学者アリシアは、講演先のイスタンブールで美しいガラスの小瓶を買う。ホテルの部屋に持ち帰ると、中から巨大な魔人が飛び出し、瓶から出してくれたお礼に「3つの願い」をかなえると申し出る。しかし物語の専門家であるアリシアは「願い事」を描いた物語にハッピーエンドがないことを知っており、魔人の誘いに疑念を抱く。魔人は彼女の考えを変えさせようと、3000年におよぶ自らの物語を語り出す。
2022年、オーストラリア・アメリカ合作製作。上映時間は108分。レイティングはPG12。日本配給はキノフィルムズ。

監督はジョージ・ミラー。出演はイドリス・エルバ(ジン)、ティルダ・スウィントン(アリシア)ほか。

 

 ジョージ・ミラー監督の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』以来の新作である。本作は壮大なラブストーリーであるが、視覚効果を上手に使った寓話でもある。ミラー監督はマッドマックス・シリーズ以外はこういう作品が多いので、むしろ原点回帰のような作品である。アリシアにジンが物語を語る形式で話が進んでいくので、物語の中で物語を展開する映画である。ちなみにこの映画は現代パートのジンがアリシアに物語を語るシーンではほとんど場面展開がなく、コロナ以降の映画っぽいなと思った。

 

 女性のアリシアが聞き手で男性のジンが語り部であるので、ステレオタイプを回避している試みもあるが、魔法を使うジンが黒人の役者であるイドリス・エルバというのはステレオタイプな気もする。それでもジンがただの魔法使いではなく、長い間閉じ込められていたトラウマを持っていたり、語り部として非常に優秀で心のこもった語りをするので奥深い人物でもある。そこに孤独な心を持つアリシアが惹かれていくのは納得がいく。この辺はギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』と類似できるかも。

 

 まあ私は軽いラブストーリーが好きではないのですが、この映画くらい壮大なラブストーリーだと全く嫌味が無い。むしろ憧れるかも笑 あとジンが凄く孤独な心を持っているのがしっかりと伝わってきたのも効果的だったと思う。あんなに視覚効果を多用したのにエネルギーが伝わってきて感情移入ができたのは、ひとえにミラー監督の手腕だろう。