@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

午前十時の映画祭13『アラビアのロレンス/完全版4K』

 

午前十時の映画祭13『アラビアのロレンス/完全版4K』(Lawrence of Arabia) [1963年イギリス]

 

20世紀初頭、アラビアはドイツと同盟を結ぶトルコの圧政下にあった。イギリス陸軍カイロ司令部に勤務するロレンス少尉は、トルコからの独立を目指す反乱軍の指導者ファイサルに会うため旅に出る。反乱軍の無力さを目の当たりにしたロレンスは、アラビア民族をまとめあげてゲリラ戦を展開し、見事トルコ軍を打ち破ることに成功。その後も次々と勝利を収めていくが、その一方でロレンスはアラブ人同士の争いや国同士の政治的駆け引きに翻弄されるようになっていく。監督はデヴィッド・リーン。出演はピーター・オトゥール(ロレンス)、アレック・ギネス(ファイサル)、アンソニー・クイン(アウダ)、オマー・シャリフ(アリ)。

 

 もう再上映したら絶対に劇場に観に行きたいと思っていたので、劇場で観れて本当に良かった。倫理はともかく映画の教科書みたいな作品だ。残念ながら上映館の画面が小さかったのだが、それでも面白かったけど。完全版で4時間も上映時間があったし、インタルードや上映開始冒頭に黒画面に音楽だけがひたすら流れる時間に時代を感じた。

 

 まず撮影はやはり凄い。ずっと左から右へと登場人物が動いていて、最後にロレンスがイギリスで帰るときに右から左へと動く。キリストやモーゼになりたかったロレンスの失意と旅の終わりを表現していた。

 

 ロレンスはいったい何者なのかも重要なテーマで(who are youが繰り返される)。歴史スペクタクル映画だけじゃなく、人間ドラマとしても重厚だ。ロレンスの私生児でクィアとしての葛藤を明言しなくても伝える演出も凄い。後期になってロレンスのクィアとしての批評が出てきたそうで、それを仕込んでたのはすごいとしか言いようがない。

 

 インタルードを挟んだ二部構成にした意味がしっかりあって、前半は冒険譚、後半はロレンスのレイプリベンジストーリーになる。ロレンスの心の変化を、皆のための行動からラストは私怨のための行動へと移り変わるさまをロレンスの周囲の人間の視線を通して伝える。というかこの変化はさながら指輪を運ぶ『ロード・オブ・ザ・リング』のフロドじゃないか!

 

 この映画は女性は全く喋らない。女性がいなさすぎて、馬やラクダまでオスじゃないかと思えてくるくらいだ。ただしヒロインはいる。ロレンスがヒロインだ(フロドもヒロインだ)。男性しか登場させないことで、この映画の中で唯一のブロンドヘアーであるロレンスのヒロイン性を際立たせている!そして時にゲイのステレオタイプを多用して強調してもいた(喋り方、走り方、歩き方、ドレスへの喜び)。