@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ブレット・トレイン』

自己発見も自己啓発もロシアへの復讐もオリエンタリズムアメリカでやればいいよ(それでも批判するけど)

 

 

『ブレット・トレイン』

作家・伊坂幸太郎による「殺し屋シリーズ」の第2作「マリアビートル」を、「デッドプール2」のデビッド・リーチ監督がブラッド・ピット主演でハリウッド映画化したクライムアクション。いつも事件に巻き込まれてしまう世界一運の悪い殺し屋レディバグ。そんな彼が請けた新たなミッションは、東京発の超高速列車でブリーフケースを盗んで次の駅で降りるという簡単な仕事のはずだった。盗みは成功したものの、身に覚えのない9人の殺し屋たちに列車内で次々と命を狙われ、降りるタイミングを完全に見失ってしまう。列車はレディバグを乗せたまま、世界最大の犯罪組織のボス、ホワイト・デスが待ち受ける終着点・京都へ向かって加速していく。

 

 原作で未読で映画のみの感想だ。まず新幹線の疾走感に合わせるような物語展開やギャグはまあまあ面白い。キャラもたっていて殺されるには全員惜しいくらいだ。タランティーノガイ・リッチーの影響を受けてるのは明白だと思う。メインのキャストはブラット・ピットはもちろんのことみんな素晴らしく、カメオでサンドラ・ブロックチャニング・テイタムとライアン・レノイルズが出ていて豪華だ。トンチキ日本描写もなんだかなという感じだ。というのも...

 

 まず女性の描き方が悪い。プリンスは父親に歪んだ愛情を持っていて、いかにもアメリカ人が考えた歪んだ父親大好きアサシン女性だ。しかもどっちつかずな役柄であんなに男の暗殺者はキャラが立っていて愛せるのに、プリンスだけはただただ憎たらしい小娘みたいな感じで終わって残念だ。しかも最後は狂喜乱舞し車にひかれてあっけなく物語から退場する。というか最後の笑えるオチみたいな感じにされていて可哀そうだ。こういうところに監督のミソジニーを感じる。また最後のラスボスみたいなホワイト・デスも歪んだロシア人でなんだかな?という感じだ。(ガチガチのステレオタイプのロシアなまり英語でこれを芸達者のマイケル・シャノンが演じていることにさらにむかついた。こんな役受けなくて良い。) このアメリカ映画がいかにロシア人の人種差別的なステレオタイプを描く作品の舞台が日本だというのがより腹立つ。こういうロシア人描写はもうやめたほうがいい。そして何よりこの監督は去年公開された『Mr. ノーバティ』でも人種差別バリバリのロシア人を登場させたり、都合の良い女性を登場させたりしたことがある監督だ。というかデヴィッド・リーチ監督はそういう人なんだろうね。

 

 次にレディ・バグがセラピーを受けて立ち直ったみたいな設定で、節々に自己探求やら自己啓発みたいなことを言ってくるんだけど、それがとにかくウザい。何でも知っている白人男性が知らないやつに教えてやる構図なので、とにかく鼻に付く。(これはこの映画のなかで笑える部類のセリフのようなので、やはりこういう感覚が笑えると思っている監督なのだろう) 自己発見も自己啓発もロシアへの復讐もオリエンタリズムアメリカでやればいいよ(それでも批判するけど)。