@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『グリーン・ナイト』

 

 

『グリーン・ナイト』(The Green Knight)

J・R・R・トールキンが現代英語訳したことで知られる14世紀の叙事詩「サー・ガウェインと緑の騎士」を、デビッド・ロウリーが監督・脚本を手がけ、A24が製作と配給を務める。アーサー王の甥であるサー・ガウェインは、正式な騎士になれぬまま怠惰な毎日を送っていた。クリスマスの日、円卓の騎士が集う王の宴に異様な風貌をした緑の騎士が現れ、恐ろしい首切りゲームを持ちかける。挑発に乗ったガウェインは緑の騎士の首を斬り落とすが、騎士は転がった首を自身の手で拾い上げ、ガウェインに1年後の再会を言い渡して去っていく。ガウェインはその約束を果たすべく、未知なる世界へと旅に出る。

 

 信頼と実績のA24が本気でファンタジー作品を作ってきた、それなのに映画から同スタジオの過去作のようなホラーの雰囲気があり、『ロード・オブ・ザ・リング』とか『ゲーム・オブ・スローンズ』が好きでインデペンデント作品に基礎を置いているので、私には大好きな作品であった。しかも英雄の旅からインスパイア受けた作品で、かつ映画オリジナルの作りになっていて、『DUNE/デューン 砂の惑星』ばりの運命に受け入れ抗う物語なので面白くない訳がない。

 

 ホラー映画のようなスコアも良いし、美術も衣装もオリジナル感があってよいし、何より長回しのシーンがあったりセリフではなくシーンだけで登場人物の心情を伝えてくる叙情詩みたいな撮影も見事だ。(いや本当にスタンリー・キューブリックの映画見てるみたいだった)

 

 この映画の良いところは主人公のガウェインが半人前の剣士で語るべきストーリーを持っていないところだ。(彼の半人前ぶりを比喩で表現したりするのが見事だ) そしてそれを映画のラストでもより顕著になる。(遅かれ早かれ緑の腰布を持ち続けていても死ぬ未来を体験した) この映画は英雄の旅を踏まえつつ英雄という存在を否定し、英雄的なリーダーを否定すらしている。非常に現代にも通じるメッセージを持った作品だ。