@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『グロリアス 世界を動かした女たち』

 

グロリアス 世界を動かした女たち』(The Glorias)

 

アメリカのフェミニズム活動家グロリア・スタイネムの伝記映画。大学時代に留学したインドで男性から虐げられている女性たちの悲惨な経験を見聞きしたグロリアは帰国後、ジャーナリストとして働き始める。しかし、社会的なテーマの記事を書きたいと思っても、女だからとファッションや恋愛のコラムしか任せてもらえない。そこで彼女は、高級クラブの「プレイボーイ・クラブ」に自らバニーガールとして潜入し、その内幕を記事にして女性を商品として売り物にする実態を告発する。徐々に女性解放運動の活動家として知られるようになった彼女は1972年、仲間たちとともに女性主体の雑誌「Ms.(ミズ)」を創刊。未婚女性=Miss(ミス)や既婚女性=Mrs.(ミセス)とは別に、未婚・既婚を問わない女性の新しい敬称=Ms.として、全米各地の女性に受け入れられていく。

 

 恥ずかしい話であるが、私はこの映画を観るまでグロリア・スタイネムを具体的に知らなかった。プレイボーイに潜入取材した話やMs.の話を断片的に聞いたことある程度であった。そんなグロリア・スタイネムを幼少期から晩年の2016?年あたりを描いているのが本作である。上映時間が長いので幼少期から丁寧に描かれているのが特徴であるが、伝記映画にありがちな退屈なストーリー展開になっておらず映画の本編に効果的に視覚効果が面白い感じで差し込まれており(例えば若くて反論できなかった差別発言に大人になったグロリアが公然と反論するSFみたいなシーンをさしこんだり、幼少期と十代と大人になったグロリアが会話したり)、飽きない作りになっており、これは過去にフリーダ・カーロの伝記伝記映画などを手掛け本作の監督である女性映画監督のジュリー・テイモアの作家性に寄るところが大きい。

 

 映画のラストにはグロリア・スタイネム本人も登場し、まあ伝記映画としては反則なんだけど、あれだけ凄い人物なのだからご本人が登場してもいいじゃないか。この辺含めてRGBの伝記映画を思い出した。あの映画もラストにご本人が登場したので。

 

 ただよく作られている作品であるが、本作では白人以外のフェミニズムも取り扱っており、例えばブラックフェミニズムを始めとする人種問題や労働問題やグローバリズムやポルノの問題や同性愛について断片的であるが扱っている。意図的なのか分からないが、トランスジェンダーについては一切扱われていなかった。少し盛りすぎなところもあるのは否めない。もちろんフェミニズムは把握しておかなければいけない分野がたくさんある運動や思想なので当たり前なのだが、映画として観ると少し話が盛りすぎになってしまいやりすぎな感じを受ける。(これは女性の活動のダブルスタンダートでいっつも女性の活動にだけつきまとう批判であるが、やはり2022年においてはインターセクショナリティという考え方の方が主流なので)

 

 また避けて通れないのがやはり物語が白人中心的になってしまっているだ。もちろんグロリアの功績と活躍は凄いし、彼女の苦労を潰そうとしようという気持ちは一切ないし、これはまあ少し意地悪な批判だが、映画のラストがワシントンでのWomen's Marchでのスピーチで終わったので余計感じたことだが、あの行進は当時のアメリカ大統領のトランプの就任に反動して行われた行進という意味付けが強いのだが、そんなトランプに50%近くの白人女性が投票した事実があるので、映画としてラストに持ってくるのは正直失敗だと思う。その事実があるためこの映画における白人女性以外の描写の薄さがラストのせいで余計際立つ結果になってしまった。

 

 あとポスター詐欺というか、この映画のポスターにはジャネール・モネイがいるのだが、当のジャネールは一瞬しかでないというかまあこの映画でジュリアン・モーアとアリシア・ビガンダーにつぐ有名人なので仕方ないけど、、ポスター詐欺じゃないかな。