@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ロスト・キング 500年越しの運命』

 

『ロスト・キング 500年越しの運命』 (The Lost King) [2022年イギリス]

 

フィリッパ・ラングレーは職場で上司から理不尽な評価を受けるが、別居中の夫から生活費のため仕事を続けるように言われてしまう。そんなある日、息子の付き添いでシェイクスピア劇「リチャード三世」を鑑賞した彼女は、悪名高きリチャード3世も実際は自分と同じように不当に扱われてきたのではないかと疑問を抱き、歴史研究にのめり込むように。1485年に死亡したリチャード3世の遺骨は近くの川に投げ込まれたと長らく考えられてきたが、フィリッパは彼の汚名をそそぐべく遺骨探しを開始する。監督はスティーブン・フリアーズ。出演はサリー・ホーキンス(フィリッパ)、スティーブ・クーガン(ジョン)、ハリー・ロイド(リチャード3世)ほか。

 

 ずっと誤解され続けていた人間の真実の姿を伝えようとするファン/オタクの鏡みたいな映画である。これが凄いのは実話であるということだ。また研究という立場ではなくあくまでファンだったという立場だったのがすごく活きている映画だったと思う(少し研究者泣かせだと思うけど)。

 

 長い間誤解されていたリチャード3世の名誉を回復させるまでのフィリッパの活動と周りの人間を巻き込んでいく様は凄く面白いのだが、その活動が大きくになるにつれて大学の権威とかでフィリッパ個人の功績が消されてしまうが、実はこの映画が作られて事で多くの人がフィリッパの功績を知ることになり、映画の中ではリチャード3世の名誉が回復し、映画の外ではフィリッパの功績が広く認められることになる、まさに映画の力を感じる作品であった。忘れがちだが、研究と映画製作って似てるところだらけなんだよね(調査&発表etc)。

 

 また主人公のフィリッパも奥行きのある人物で、一見迷惑な人物だと思われていたが、実はその迷惑さが歴史や研究を動かしたのだから、そういう性格が大きな変化をもたらすのだということをポジティブに描いていたし、何より病気と本人の性格の気難しさを絡めてはいけないという非常に大切なメッセージが込められた作品でもある。

 

 まあ個人的には実在した権威者と自らを重ねる行為や同情の視線って危ない面の方が多い気がするのだが、この点こそ究極のファン目線だと思うし、それこそ研究者との大きな違いなのだろう(現にこの映画はファンである以上の行為をしていない)。またリチャード3世が500年前のイギリスの人物だったという側面も大きい、これがアメリカだったら、アメリカの歴史背景上を踏まえてもっとやばい奴だと周りに思われると思うので。