@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

午前十時の映画祭13『エクソシスト ディレクターズカット版』

 

エクソシスト ディレクターズカット版』 (The Exorcist: The Version You've Never Seen) [1973年アメリカ]

 

女優のクリスは、一人娘リーガンの12歳の誕生日を祝おうと友人達を招待した。夜更けまでパーティーが盛り上がっていると、突然、寝室から降りてきたリーガンが、客に汚い言葉を吐き、しかも、立ったまま放尿した。そしてその夜、リーガンの部屋から、突然大きな悲鳴が聞こえてきた。駆けつけたクリスが見たものは、激しく揺れるベッドと、その上で泣き叫ぶ娘の姿だった……。監督はウィリアム・フリードキン。出演はマックス・フォン・シドー(ランカスター神父)、ジェイソン・ミアー(デミアン神父)、エレン・バースティン(クリス)、リンダ・ブレア(リーガン)ほか。

 

 本作観ながら今年公開された『ヴァチカンのエクソシスト』のことを考えていたのだが、あれって『エクソシスト』の面白い部分だけを抽出した映画だったんだな。ディレクターズカット版をいうだけあって「このシーンいる?」みたいなのは正直存在していたのだが、なんかすごく上映時間が長く感じた。本作をCSの放送で何回も観たはずなのに、さすがに地味で派手さが欲しいとすら感じた(やっぱり大画面で観ると違うな)。それでもクリスがリーガンのために医療は頼れないので悪魔祓いに頼ろうとするまでの過程を丁寧に描いていたのは良かった。

 

 このへんの地味さを補っているのが俳優たちの演技だと思うが(特にリーガン)、それが監督のハラスメントによって引き出されたものだと思うと、とても皮肉だ。俳優とリアリズムを軽視した結果だと思う(最近ウィリアム・フリードキン監督は亡くなられたので、念のためご冥福をお祈りしたい)。本作の再上映で改めて思ったけど、本作はかなりヘンテコな映画であるが、当時はインパクトがあったと思うのだが、今観ると少しインパクトに欠ける。脚本から派生する監督の演出が上手くいっていないのが原因だと思うし、それもなんとなく監督は当時も気づいていたのではないかな、だから結局俳優に頼り切りになっちゃったんだろう。最初のイラクでのシーンなんてあんなに豪勢なのに、後半なんてほとんど家の中のシーンばっかりだったし。

 

 あと本作では何度も階段を昇り降りるシーンが繰り返されていて、階段が重要なモチーフとして使われていたが、あれは生と死、聖と俗、神と悪魔を行き来していたんだろうな。あの有名なサブリミナル効果より、ずっと階段のサブリミナルのほうが演出として活きていた。