『コンペティション』(Official Competition)
大富豪の起業家は自身のイメージアップを図るため、一流の映画監督と俳優を起用した傑作映画を制作しようと思いつく。そこで変わり者の天才監督ローラと世界的スターのフェリックス、老練な舞台俳優イバンという3人が集められ、ベストセラー小説の映画化に挑むことに。しかし奇想天外な演出論を振りかざす監督と独自の演技法を貫こうとする俳優たちは激しくぶつかり合い、リハーサルは思わぬ方向へ展開していく。
監督はガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン。出演はアントニオ・バンデラス(フェリックス)、オスカル・マルティネス(イバン)、ペネロペ・クルス(ローラ)ほか。
今年観た『バビロン』に似ていて映画業界人への皮肉と諷刺がある作品だが、チャゼルと比べると本作の方がずっと映画愛が無い。というかこの映画に比べれば『バビロン』のチャゼルはしっかり映画愛に溢れていたぞ。この嫌な感じはリューベン・オストルンド監督作品を観た時と同じ感じだ。おそらく本作の監督コンビは過去に役者か監督か別の業界人に嫌がらせを受けたに違いない。
フェリックスとイバンの演技対決は笑えたのだが、さすがにローラのハラスメントじみた演技指導は観ていて全く笑えない。ただこれを女性の監督でやるのは面白いなと思いつつ、圧倒的にローラみたいなハラスメントみたいな演技指導する奴って現実では男性が多いと思うので釈然としないのも事実。ただしペネロペ・クルスみたいにベテランの女性の役者はこういう今まで男性が演じていただろう役を自分が演じたいと思うよな~と。