@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ウェルカム トゥ ダリ』

 

『ウェルカム トゥ ダリ』 (Daliland) [2022年アメリカ・フランス・イギリス]

 

1985年、サルバドール・ダリが火事で重傷を負ったというニュースが世界に衝撃を与える。それをテレビで知ったジェームス・リントンは、ダリと過ごした奇想天外な日々を思い出す。1974年、ニューヨーク。画廊で働きはじめたジェームスは、憧れの芸術家ダリと出会う。圧倒的なカリスマ性を持つダリと、彼に負けないオーラを放つ妻ガラに気に入られたジェームスは、ダリのアシスタントを務めることになり、ダリが生み出す不思議で危うい世界へと足を踏み入れていく。監督はメアリー・ハロン。出演はベン・キングズレー(ダリ)、バルバラ・スコバ(ガラ)、クリストファー・ブライニー(ジェームズ)ほか。

 

 女性監督でヘンテコな映画を作る走りみたいなメアリー・ハロンの新作が観れるだけで嬉しいし、『ハンナ・アーレント』のバルバラ・スコバを観れたのも嬉しい。ちなみに本作の脚本家のジョン・C・ウォルシュはメアリー・ハロンのリアルでのパートナーである。

 

 ただし、メアリー・ハロンが作った以外の良さがこの映画から感じられず、ずっと地味なまま派手さが一切ない。もっとキャンプな映画にすれば良かった気がするが、ダリのシュルレアリスムと映像と音で人々に訴えかける映画との相性が悪いことは分かった。

 

 正直、第3者であるジェームズを中心に描くより、最初からダリとガラの若い時から晩年までを描く伝記映画を作ればよかった気もする(もちろん伝記映画は基本的に退屈なのだが)。晩年のダリにだけ注目しているため、この映画の見どころであるダリとガラの変わりもの夫婦像が本当にただ変わっているだけの表象になってしまっている。非常に惜しい作品だったが、それでもみんながこの映画を観にいくのは、やっぱりダリが有名だからだろう。ダリというカリスマにだけ頼り切った映画であった。