『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(Fantastic Beasts: The Secrets of Dumbledore)
前作『黒い魔法使いの誕生』の出来事から数年後の1930年代、ブラジルのリオデジャネイロとドイツのベルリン、そしてイギリス、アメリカを舞台に、魔法界が第二次世界大戦に参戦するまでの物語。ゲラート・グリンデルバルドの勢力が急速に拡大する中、アルバス・ダンブルドアはニュート・スキャマンダーとその仲間たちに、グリンデルバルドの軍隊との衝突につながる任務を託し、ダンブルドアは迫り来る戦争をいつまで傍観するのかを熟考することになる。
まず前作から大きく変わったところは、グリンデルバルドを演じる役者がジョニー・デップからマッツ・ミケルセンに変わった(まあこれは仕方ない)。また最近であるが、クリーデンスを演じるエズラ・ミラーが逮捕されたり(本作の内容を観る限りでは次回は出演しないかも)、脚本家のJ.K ローリング氏による度重なるトランス女性へのヘイト発言など、本作以外でのところでネガティブな情報が続いたシリーズの新作でもある。それでも初日は結構お客さんが映画館にいて改めて本シリーズの人気を再確認した。私個人でもこのシリーズは好きだし、新作が公開されればもちろん観に行くが、やはりローリング氏のヘイト発言は容認できない。
全体としては大変面白い。もちろん脚本の穴があるし、登場人物がやたら登場するのに(それに全員魅力的だ)、深く掘り下げられていない気がするし(まあハリーポッターシリーズもそうであったのでここはあまり気にしていない)、物語の展開も結構雑である。
相変わらずニフラー(ドジっ子キャラとして最強だと思う)とボウトラックル(スキャマンダー先生のこと好きすきだろ)は賢くて可愛いし、笑えるシーンも多い。戦闘シーンもカッコイイ。特にブータンでの複数のトランクを使って敵をかく乱させる作戦は良かった。ここで流れる音楽といい、出てくる物と言いハリーポッターシリーズのファンは涙である。
またダンブルドアとグリンデルバルドの戦闘シーンはセクシー過ぎて逆の意味で危険すぎると思うが、本作でしっかりと二人が過去に恋愛関係であったことは明示されているのも良かった。ラストのダンブルドアに向かってグリンデルバルドが言い放つ「私以外誰がお前を愛すんだ」的な発言は失恋した相手に言われて一番悲しいセリフだ。
前作ではポピュリズムに陥る政治についての話だったが、本作では選挙と投票についての話で、相変わらず世評と話を合わせるのが上手だなと思った。何年後になるか分からないし、本シリーズもどうなっていくか分からないが、次作が非常に楽しみだ。