『ビデオドローム 4K ディレクターズカット版』 (Videodrome) [1982年アメリカ]
製作から40年を記念して、上映時間89分のディレクターズカット、初の4Kデジタルレストア版で公開。暴力やポルノが売り物のケーブルテレビ局を経営するマックスは、ある日、部下が偶然に傍受した電波から「ビデオドローム」という番組の存在を知る。その番組には、拷問や殺人といった過激な場面が生々しく映し出されていた。やがて「ビデオドローム」は見た者の脳に腫瘍を生じさせ、幻覚を見せるものであることがわかり、「ビデオドローム」に支配されたマックスの世界も均衡を失っていく。監督はデヴィッド・クローネンバーグ。出演はジェームズ・ウッズ、デボラ・ハリーほか。
私が観た映画館のシアターが4K非対応で映像だけが綺麗になった無修正版を観たのだが、一体どこが該当シーンのなのかは分からなかった。デヴィッド・クローネンバーグの『クラッシュ』でもそうだったのだが、私はこの手のセックスとボディ・ホラーが混ざるジャンルにとてつもない笑いをこらえられず、本作でも至る所で起こる笑いに耐えられなかった、やはり笑う映画だよね？(私だけ...) 一見奇妙奇天烈に思える設定だが、結構分かりやすい内容だと思う。ビデオを通して世界を征服を企む奴らと、不本意ながら自身の体に特殊な能力を得た主人公が囚われた女の子を救おうとする話で、あり触れている題材を使った歪んだヒーロー映画だ。
冒頭のビデオ流通の勃興の話やケーブルテレビを使用して大衆を煽る流れとか個人的にそっちの方が面白いと思ったのだが、このケーブルテレビを使って大衆の支持を獲得していくやり方をトランプ元大統領は巧みに使っていたのだと思うと、この映画は非常に現代的なテーマを持った映画でもあって、もし現代にリメイクするのであれば、題材はエロでなく政治かな。もちろん性と政治は非常に入り組んだ関係なのだが。
あとびっくりしたのだが、デボラ・ハリーがマックスの恋人役で登場するのだが、これまたえらくセクシーで妖艶で彼女が主人公の映画を作ればよかったのにとも思った。
