@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『アウシュヴィッツの生還者』

 

アウシュヴィッツの生還者』 (The Survivor) [2021年カナダ・ハンガリーアメリカ]

 

アウシュビッツからの生還者ハリー・ハフトの半生を息子アラン・スコット・ハフトがつづった実話をもとに映画化。1949年、ナチスドイツの強制収容所アウシュビッツから生還したハリーは、アメリカでボクサーとして活躍しながら、生き別れた恋人レアを捜していた。レアに自分の生存を知らせるため取材を受けたハリーは、自分が生き残ることができたのはナチス主催の賭けボクシングで同胞のユダヤ人たちに勝ち続けたからだと告白し、世間の注目を集める。しかしレアが見つかることはなく、彼女の死を確信したハリーは引退。それから14年の歳月が流れ、別の女性と新たな人生を送るハリーのもとに、レアが生きているという報せが届く。監督はバリー・レビンソン。音楽はハンス・ジマー。出演はベン・フォスター(ハリー・ハント)、ビッキー・クリープス(ミリアム)、ビリー・マグヌッセン(シュナイダー)、ピーター・サースガード(エモリー)、ダル・ズーゾフスキー(レア)、ジョン・レグイザモ(ペペ)、ダニー・デビート(チャーリー)ほか。

 

 80年代から映画を作っている監督なだけあって、映画製作のこだわりを強く感じれて嬉しかった。例えば海辺でのシーンとか街中でのシーンとか、「そこそんなにエキストラいる?」というところで本当にたくさんのエキストラを雇用されており、最近の役者たちのストライキのこともあり、非常に感激した。ハリーがどのように収容所を生き抜いて、なぜそんなに罪悪感を持っているのかを徐々に明かしていくストーリー展開で、その中でボクシングのシーンがあり、それが上手く巧みに撮られていて、しっかりボクシング映画でもある。また収容所でのボクシングのシーンは現代パートのアメリカでのボクシングのシーンと比べて苦痛に満ちた感じで撮られていて、差をしっかり演出できていた。

 

 ボクシングを引退し、ミリアムとの結婚生活を送るも、未だにPTSDに悩まされて特に長男に辛く当たってしまうが、ミリアムから説得され、かつ元恋人のレアと再会することで自分の気持ちと過去と再び向き合い、それをしっかり子供に伝えることでハリーのPTSDから立ち直っていく姿を丁寧に描くことにも重きを置いていた。戦後の家庭の中で起きていたPTSDによる家庭内暴力の連鎖を断ち切ろうと、それがいかに大切なのかを伝えてきていた。(ただし息子が綴った話の映画化なので、父親への目線が一方的な気もした)

 

 一つ文句を言うと、ハリー演じるベン・フォスターは特殊メイクをしているのだけど、1950年代の時は違和感ないのだが、映画の後半である1960年代パートになると、さすがに特殊メイクしたベン・フォスターが浮いてしまい全く夫婦に見えないのだが(実際歳の差夫婦だったのかもしれないが、それにしてもだった)、少し特殊メイクに頼りすぎてしまったのではないか。というかそもそも伝記映画ってあんなに本人に似せる必要あるのか?