『チケット・トゥ・パラダイス』
元夫婦のデヴィッドとジョージアは20年前に離婚して以来、必要に迫られて会うことがあっても、いつもいがみ合ってばかりいた。そんな2人の愛娘リリーがロースクールを卒業し、旅行でバリ島へ向かい、数日後に「現地の彼と結婚する」という連絡が入る。弁護士になる夢を捨てて会ったばかりの男と結婚するなどあってはならないと、自分たちと同じ過ちを繰り返してほしくないデヴィッドとジョージアは、現地へ赴き、娘の結婚阻止に向けて協力することになる。
ラブコメ復活の兆しを象徴する作品で嬉しい限りだが、よくラブコメにいるヒロインにフラれる元カレとか(ポールはフラれるには魅力的な男だ)、ちょっとヤバいマイノリティ文化の表象とかは相変わらずで(バリ島の描写テキトー過ぎるだろ)、「うわっ」て感じだ。(さすがにヒロインをかいがいしく支えるゲイのベストフレンドは出てこなかった)
私が『Booksmart』のモーリーンなら全力でリリーを止めに来るところを、本作はしっかりご両親のデヴィツドとジョージアが止めに来るのだが、映画の最後までこの二人が復縁するのかどうか分からないで終わったところにラブコメの進化は感じた(つまりメインの話は恋愛ではない)
まああの『マンマ・ミーア』のオル・パーカー監督なので細かいところにツッコミをいれるのは野暮であるが、それでもリリーの婚約者であるグデは少し飲酒のクセも悪そうでデヴィッドとジョージアはそれでいいかもしれないが、私は心配だ。他にもピザ問題とか(アジアの不寛容さをなめすぎだろ)、海の家の前にパソコン置くとか(気を付けて)、やけに観光地化され過ぎているバリ島とリリーとグデの結婚式とか(撮影のほとんどはCGかオーストラリアロケだ)、はやっぱりツッコミを禁じ得なかった。