@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『アシスタント』

 

『アシスタント』(The Assistant) [2019年アメリカ]

 

名門大学を卒業したジェーンは、映画プロデューサーを目指して有名エンタテインメント企業に就職する。業界の大物である会長のもとでジュニア・アシスタントとして働き始めたものの、職場ではハラスメントが常態化していた。チャンスを掴むためには会社にしがみついてキャリアを積むしかないと耐え続けるジェーンだったが、会長の許されない行為を知り、ついに立ちあがることを決意する。監督&脚本はキティ・グリーン。出演はジュリア・ガーナー(ジェーン)、マシュー・マクファディン(ウィルコック)ほか。

 

 派手な演出を極力さけて一日の流れを丁寧に描くことで、かえってジェーンの置かれている過酷な状況を上手に演出できている。カメラがクローズすることがないので、ジェーンがいったいなにをしているのか、電話口でも相手が何を話しているのか聞こえない、もっと言うとあらすじを頭に入れないで映画を観るとどの業界を描いているのか分からない、極限まで説明を削った映画である(邦画と対極に存在している映画だと思う)。

 

 エンドロールでこの映画のアイデアや実体験を話してくれた数多くの証言者の名前がクレジットされているように(本当に数多い!)、色んな人の体験が反映されている脚本で、それをまとめ上げたのは見事だ。もちろんこの映画のジェーンは膨大な作業の中、ボスや就労環境を告発したりすることはない。ああやって何とか一日を過ごすことで処理するのはかなりリアルだと思うし、多くの証言者からの証言で脚本を書いているので、ラストがああいうちょっとお茶を濁した感じになったのは納得だが、同時に限界も感じた。逃げているようには感じなかった。

 

 おそらく映画の舞台はニューヨークで、ハリウッドでは製作できない、中規模のアートハウス映画を制作もしくは配給している会社っぽいので、絶対モデルはハーベイ・ワインスタインだろうな。ちょうど今年日本で公開された『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』が革命だとしたら、本作『アシスタント』は革命前夜だろう。両作とも力強い映画だ。