『探偵マーロウ』(Marlowe) [2022年アメリカ・アイルランド・フランス合作]
1939年、ロサンゼルス。私立探偵マーロウのもとに裕福そうなブロンド美女が現れ、姿を消した元愛人を捜して欲しいと話す。依頼を引き受けたマーロウは捜索を進めるうちに、映画産業が急成長するハリウッドの闇に飲み込まれていく。監督はニール・ジョーダン。出演はリーアム・ニーソン(マーロウ)、ダイアン・クルーガー(クレア)、ジェシカ・ラング(ドロシー)、アドウェール・アキノエ=アグバエ(セドリック)、ダニー・ヒューストン(フロイド)、アラン・カミング(ルー)ほか。
1939年のLAの雰囲気はかなりよく演出されていて美術と衣装がとても良い。おそらく原作にあるミソジニー要素とかマーロウの色男的な要素がそぎ落とされた感じが脚本から伝わってきて、マーロウは探偵というか限りなく寅さんに近い存在だ。
まあ正直脚本がぬるすぎてこれと言って特色がない映画だと思うけど、マーロウがタバコに火を点けることで人と親密になろうとすることでマーロウの人となりが分かる演出は面白いし、ルーにこき使われているけど読書家で映画好きのセドリックが機知にとんだジョークやおしゃべりをする奥深い人物になっているのはいいと思うし、ダイアンがハリウッドの女性プロデューサーになったたころとかも良い。あの時代存在が認められなかったであろうセドリックやダイアンのような人物を登場させるのは良いし、こういう映画は脚本というより登場人物が印象に残ればいいので、そういう点ではこの映画はよく出来た映画だと思う。