@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ボイリング・ポイント 沸騰』

 

『ボイリング・ポイント 沸騰』(Boiling Point)

 

ロンドンの高級レストランを舞台に、オーナーシェフのスリリングなある一夜を、全編90分ワンショットで捉えた人間ドラマ。一年で最もにぎわうクリスマス前の金曜日。ロンドンにある人気高級レストランのオーナーシェフのアンディは、妻子との別居や衛生管理検査で評価を下げられるなど、さまざまなトラブルに見舞われて疲れ切っていた。そんな中、アンディは気を取り直して店をオープンさせるが、あまりの予約の多さにスタッフたちは一触即発状態となっていた。そんな中、アンディのライバルシェフが有名なグルメ評論家を連れて突然来店し、脅迫まがいの取引を持ちかけてくるが……。

 

 まず90分ワンショットのようにみせる演出と役者の演技は見事だと思う。また5分に一回以上はお店内でトラブルが起きるというハラハラしまくる展開は本当に近年稀にみる観客の忍耐を試す作品だ。

 

 ただし個人的には凄く嫌いな映画だ。まず厨房のハラハラ感とワンショットを演出するためにドキュメンタリーみたいに撮影されており、常に画面が動きまくるので観ていて疲れる。もっと悪く言うと画面酔いする。次に従業員と客が常にトラブルを巻き起こして怒涛の物語展開を起こしているので、キャスト全員をもれなく嫌いになる。これは映画として良いのだろうか?映画の中で起こることが全部人のせいに還元されるみたいな落とし方で非常に良くない。この映画を作った人間は人嫌いか、観客の存在を無視する最低なオタクだと思う。オタクはいつだって映画は労働であることと観客の存在を忘れんだよな。またこの映画の中で平然と行われる人を公衆の面前でなじったり、中傷したり、大きな声で怒鳴ったりするのは本当にいかがなことかと思う。映画だけどその辺の倫理観が著しく欠如していて観ていて不快だった。ただただ人を不快にさせる演出って最低だ。まずこのお店自体が衛生管理とか労働環境とかがおかしすぎるんだけど、そりゃ働いている従業員だっておかしくなるよね。それはどう考えてもマネージャーのせいだけど、確かに彼女のビジネス手腕は悪いと思うけど、シェフにあんな人格否定までされる筋合いななくない?また主人公もとってつけたようなアルコール依存症と糖尿病という設定も、ラストのためだけにあるようなものだし、他の従業員の描かれ方もダメダメだ。しかも怠惰な設定のある従業員がもれなく非白人が多く、この描き方は下手すればレイシズムだ。

 

 そして一番私が気になったのウエイトレスをしていた黒人女性のアンドレアだ。7番テーブルに来たクソ客(どこの世界にもいるんだね)の接客をするんだけど、アンドレアの前に接客したロビンが明るい性格でそれを気に入ったクソ客が、アンドレアが接客をロビンからかわると死ぬほど態度が悪くなる。しかも悪質クレームまでアンドレアだけにしてくるし。あれって人種差別だよね。いるよなウエイトレスがホステスだと勘違いするクソ客(男が多い)。ウエイトレスっていうのは客全体をまんめんなく接客するんだから一人一人にかかりきりになるわけないのにね。しかもアンドレアは他の男性客たち(インスタのインフルエンサーらしいのだがこれまた最低な男3人衆だった)からハラスメント受けるんだよ...この映画はお店で働いている人全員大変なんだよ的な視線から作られているけど、大変なのは圧倒的にアンドレアみたいなウエイトレスなんだよ。直接客とやりとりするからハラスメントの危険性に常にさらされているから。