@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『崖上のスパイ』

 

『崖上のスパイ』(Cliff Walkers)

 

 1934年、冬。ソ連で特殊訓練を受けた男女4人のスパイチームが、極秘作戦「ウートラ計画」を実行するため満州国ハルビンに潜入する。彼らの目的は、日本軍の秘密施設から脱走した証人を国外脱出させ、同軍の蛮行を世界に知らせること。しかし仲間の裏切りによって天敵・特務警察に計画内容が察知され、リーダーのチャン・シエンチェンが捕まってしまう。残された3人と彼らの協力者となったジョウ・イーは、どうにかピンチを切り抜けるべく奔走するが……。

 2021年、中国製作。言語はマンダリン。上映時間は120分。レイティングはPG12。日本配給はアルパトロス・フィルム。

 監督はチャン・イーモウ。出演はチャン・イー、ユー・ホーフェイ、チン・ハイルー、チュー・ヤーウェン、リウ・ハオツン。

 

 まず監督の美術や撮影へのこだわりが凄い。ずっと冬のシーンで永遠に雪が画面に映っているのだが、それが美しいのに寒いのがしっかり伝わってくる。あの寒い感じが満州国と日本統治の残酷さを強調している。電車でのシーンや家の中のシーンなど美術へのこだわりも感じ、雪景色を映えさせる証明も見事だ。レトロな映画館が良い感じで映っているのだが、これは前作のイーモウ監督の『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』に続く映画文化への愛情を感じた。

 

 戦時下のスパイ系映画なので、やはり拷問のシーンは観ていて辛い。また日本統治下で、同じ民族の人々が争い合うのははやり日本人として申し訳ない気持ちになる(日本人は出てこない)。最終盤まで非常にハラハラして展開が続くのだが、最後の方はけっこう失速するというか、チャンの生き別れた子供たちを乞食から救い出したりするのが話のメインになり、いわゆる人情のお話になる。日本語でいうところの人情がイーモウ監督の映画の特徴なのかな。(日本統治下が舞台の映画で日本語で例えるのは不謹慎ですか)

 

 またこの映画の肝はウートラ計画の中で日本軍の秘密を知っている捕虜を救い出すのだが、おそらく反人道的な行為を世界へ告発するための計画なのだと思うが、当時の日本がそれを告発されても果たして戦争や統治をやめたなのかと思う。それは日本人の我々が良く知っている事ですが、日本中が焼け野原になって、天皇制を残すのならという条件でようやく降伏した国なので。現実は映画より残酷である。