空に浮かぶ謎の三日月型の島を見つけたのび太は、ドラえもんたちと一緒にひみつ道具の飛行船「タイムツェッペリン」で、その島を目指して旅立つ。やがてたどり着いたその場所は、誰もがパーフェクトになれる夢のような楽園「パラダピア」だった。ドラえもんとのび太たちは、そこで何もかも完璧なパーフェクトネコ型ロボットのソーニャと出会い、仲良くなる。しかし、その夢のような楽園には、大きな秘密が隠されていた。
まず飛行船の名前がタイムツェッペリンで、それが飛び立つときにハードロック的なギターが鳴るスコアなのは卑怯というか上手い。そして完全に親向けに作った小ネタだと思う。親世代でも気付く人少ないと思うけど笑
話は空の理想郷というくらいなので、『ドラえもん のび太と雲の王国』みたいな話を期待したのだが、本作はリメイクではなくオリジナル作品だということ。
話はまあ娯楽作品として申し分ない出来だと思うし、時間軸を弄る演出はドラえもんならではだと思う。かなり要約して話すと、理想郷だと思われていたパラダピアが実は思想統制がしかれたディストピアだったみたいな話で結局今住んでいるのび太の世界の方が良いよねというオチであるが、いかにも資本主義世界に生きている人間が考え出したオチである。これは『ONE PIECE FILM RED』のウタもそうだが、ここ数年で作られる日本で大ヒットした映画での理想主義者とか理想郷とかアンチ資本主義社会の描き方がかなり一枚岩で、どうしたものかと思う。自分たちの世界は変じゃないのか?自分たちの住む世界への批判的な考察はないのか?