@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『パラレル・マザーズ』

『パラレル・マザーズ

写真家として成功しているジャニスと17歳の少女アナは、同じ病院の産科病棟で偶然出会い、同じ日に女の子を出産。ともにシングルマザーとして生きていくことを決意していた2人は、再会を誓って退院する。ところが、ジャニスがセシリアと名付けた娘は、父親であるはずの元恋人から「自分の子どもとは思えない」と言われてしまう。それをきっかけにジャニスがDNA検査をしたところ、セシリアが実の子でないことが判明。アナの娘と取り違えられたのではないかと疑うジャニスは、悩んだ末にこの事実を封印し、アナとも連絡を絶つ。しかし1年後、偶然アナと再会し、アナの娘が亡くなったことを知る。


 簡単に説明すると、ペドロ・アルモドバル監督の過去作にスペイン内乱の要素を足した作品だ。ペドロ監督は複数のテーマを組み合わせて作る人だと思うけど、前作『ペイン・アンド・グローリー』は芸術家として成功や名声や再生を、一人のクィアな人間が病気から立ち直る姿と重ねることで上手に表現できていた。本作では平時でも戦争時で現在でも過去でも、家族や人は突然死んだりするんだということを、スペイン内乱で亡くなった祖先とジャニスの赤ん坊の突然死に重ねることで2つのテーマを表現していた。少し無理やりな気がするが。

 

 あと監督してもクィア委要素を入れたかったのか、ジャニスのアナの恋愛は蛇足のように感じた。またアナが妊娠した理由もレイプされた故で、それでも出産するというのはあまり良くない気がする。

 

 変わらず監督の美術や小物に対しての美意識は凄いし、参加しているブランドの豪華さよ。こういうテーマを扱っているにも関わらず、全く最後まで退屈せずに観ることができたのはひとえに監督の演出によるところが大きいが、その演出がメロドラマにヒッチコック映画の要素を足したようですごくスリリングであった。ジャニスとアナの関係とか、影の演出とか、小物を映し方とか、殺人は起きないけど、同性愛はあるヒッチコック映画だ。