@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『ピンク・クラウド』

 

『ピンク・クラウド』(A Nuvem Rosa)

高層アパートの一室で一夜を共にした男女ヤーゴとジョヴァナを、けたたましい警報が襲う。強い毒性を持つピンク色の雲が街を覆い、その雲に触れるとわずか10秒で死に至るのだという。2人は窓を閉め切って部屋に引きこもり、そのままロックダウン生活を強いられることに。事態は一向に好転せず、この生活が終わらないことを誰もが悟り始める。月日が流れ、父親になることを望むヤーゴにジョヴァナは反対するが、やがて2人の間に男の子・リノが誕生。リノは家の中という狭い世界で成長し、ヤーゴは新しい生活になじんでいく。しかし、ジョヴァナの中で生じた歪みは次第に大きくなり……。

監督と脚本はイウリ・ジェルバーゼ。出演はヘナタ・ジ・ヘリス(ジョヴァナ)、エドゥアルド・メンドンサ(ヤーゴ)ほか。

 

 たぶん劇場でブラジル映画を観るのは初めてかもしれない。監督は女性のイウリ・ジェルバーゼだ。ピンクの雲に触れると死んでしまうらしくけっこう社会インフラとかの描き方にツメの甘さを感じつつも、おそらくこの映画はそのリアルさを追求することはしていない。男女二人で閉鎖的な家庭の中でどうやって夫婦生活をしていくのかが話のメインだと思われる。

 

 まあ正直最初の方のヤーゴとジョヴァナの恋愛は軽い気持ちで見ていられるんだが、二人が子どもを持とうとするあたりから、そんな漠然と不安だけが残る社会で子どもを持ちたいと思うものなのかとは思った。まあそれでも二人は子どもを持つことに決めたのだ。それからはよくある夫婦のいざこざが始まり家庭内別居に至ったり、関係を修復したりする。それからジョヴァナのほうが外に出れないストレスから一種の躁鬱になり現実逃避を繰り返し、ヤーゴと子どもにも呆れられて、ラストは自殺行為のように外に出て行ってしまうところで映画は終わる。

 

 おそらくジョヴァナは死んでしまうと思うが、この鬱屈した家庭の世界で女性が鬱になるというのはたとえ緊急事態ではなくても世界中のどこで住んでいても起こる普遍的な出来事なので、どんな状態でも女性は家庭の中で鬱になりやすいのだということをこの映画は言っているのかもしれない。そう意味ではこの映画はシチュエーションホラー的な作品だろう。