@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『あのこと』

 

『あのこと』
労働者階級に生まれたアンヌは、貧しいながらも持ち前の知性と努力で大学に進学。未来を掴むための学位にも手が届こうとしていたが、大切な試験を前に自分が妊娠していることに気づく。中絶が違法とされる中、解決策を見いだすべく奔走するアンヌだったが……。

 

 原作となったアニー・エルノーの実体験がもとになっているという。監督は女性のオドレイ・ディワン。法律で中絶が禁止されていた1960年代のフランスを舞台に、予期せぬ妊娠をしたアンヌの中絶までのいきさつをほとんどアンヌの目線で描かれている。(分かりやすく言うと、パソコンの画面共有をしている感じ) 

 

 かなり正直に感想を書くと...中絶を危険な個人的な知識のみでやろうとしたりするのででまた追体験させるかのような没入感を与えるので、私は観ている途中から血の気が引いて行って体調が悪くなってしまった...ごめんなさい、こういう作品は目を背けずに観ないといけないと思っているのだけど、それでも体調の悪さには勝てず、あの自分の部屋で鋭い棒を子宮に突っ込むシーンで「うわっ」て貧血気味になり、しかもその後はアンヌが大学の医師から「あきらめなさい」という残酷な現実を叩きつけられるシーンであまりに酷で失神してしまった...そこから映画の記憶がとんでしまった...またそこからさらに非合法な業者に中絶を依頼するシーンで再び貧血になり、そこからアンヌを取り巻く男たちの無知さと残酷さで再び失神するという。

 

 こんなに私に没入感を与えてくれたのはひとえにアンヌ役の役者の演技とオドレイ・ディワン監督の手腕のおかげだろう。(没入しすぎて体調不良になったのはジョナサン・デミ監督の『フィラデルフィア』のトム・ハンクスの演技を観た時以来だ。) こういう追体験させる映画は実は好きじゃないのですが、それでも中絶が違法だった時代は実際にあるし、女性にとっては出産でも中絶でも今も昔も多くの人がなくなっているのだし、それに未だに中絶を反対したりする勢力やらの影響力が強い世界なので、こういう中絶を扱った映画は必要だし、このテーマに多すぎるということはない。それにアンヌが直面していた、中絶のスティグマ、若く妊娠することでキャリアを諦めなければいけなくなること、生理が来なくなることで妊娠したかもしれないという不安、必ずしも女性の味方ではない医療、男性医師しか存在しない病院、中絶にアクセスする機会の少なさと金銭問題、等は未だに多くの女性が出会う困難で非常に今日的なテーマを扱っている。(不思議なことに今でも中絶に関する出来事は昔と変化が無い...)