@GB19940919’s diary

GB(https://twitter.com/GB19940919) (twitter→GB19940919)の映画感想雑記です。劇場で観た映画からWOWOWやサブスクで観た映画やドラマの感想です。

『17歳の瞳に映る世界』

一度も、めったに、時々、いつも....

 

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『17歳の瞳に映る世界』(Never Rarely Smetimes Always)

 

新鋭女性監督エリザ・ヒットマンが少女たちの勇敢な旅路を描き、第70回ベルリン国際映画祭銀熊賞審査員グランプリ)受賞したドラマ。友達も少なく、目立たない17歳の高校生のオータムは、ある日妊娠していたことを知る。彼女の住むペンシルベニアでは未成年者は両親の同意がなければ中絶手術を受けることができない。同じスーパーでアルバイトをしている親友でもある従妹のスカイラーは、オータムの異変に気付き、金を工面して、ふたりで中絶に両親の同意が必要ないニューヨークに向かう。性的アイデンティティに悩む青年を描いた「ブルックリンの片隅で」で2017年サンダンス映画祭監督賞を受賞し、一躍注目を集めたエリザ・ヒットマンの長編3作目。「ムーンライト」のバリー・ジェンキンスが製作総指揮に名を連ねる。

 

 伝統的なロードムービーの系譜を踏んでいる本作だが、まず女性監督で主演二人が女性。そして製作人のほとんどが女性である。全体的に大変セリフが少なく、暗いトーンの映画であるが、よく出来た映画である。

 

 まず十代の女性二人の友情に焦点が当たった映画は沢山あるが、本作の二人は親友であるが、実は親戚でもある。ふつうこういう映画の女性二人は親戚ではなく友達であること設定が多いのだが、本作は親戚という設定でこれは田舎の友人関係でけっこうあるのではないか?

 

 そしてスカイラーとオータムはお金が無いという設定なのも珍しい。というのも最近観た『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』の主演二人はお金持ちだったからだ。スカイラーとオータムはこれだけでもかなり酷な世界を生きているの分かる設定だ。またオータムはいわゆる静かな性格で、親に迷惑をかけたくないと思っているみたいで、自分が妊娠し中絶したいことを話せないでいる。(そもそも妊娠したのを話す勇気はとんでもないことで、親とどのような関係を築けていても簡単に話せることじゃない)

 

 そして意を決してオータムはセクハラ野郎のいるバイト先から金を奪ったスカイラーとニューヨークへ旅立つ。ニューヨークへ行くのも高速バスというのもこのスカイラーとオータムの行く末を表現している。そしてやっとニューヨークへきても、全くニューヨーク感がなく大変地味なところで二人は過ごしていたり、二人がいかにキラキラした世界とは無縁であるかをニューヨークの街並みが表現している。

 

 やっとの思いで中絶手術をするのだが、そこのクリニックの女性たちがとても優しく無条件でオータムを受け入れる。そこで表題の『Never Rarely Sometimes Always』が分かるシーンが出てきた、おそらく本作でオータムが一番感情を爆発させるシーンである。そもそもオータムはスカイラーにもあまり感情を見せるタイプではない。そんなオータムがクリニックの職員にみせる涙はとても重いのだ。せめてその涙を受け止めて、手を繋いでくれる大人に私たちはならないといけない。